【東京V】城福監督「僕ら、空気感に惑わされちゃいけない」チーム状況が芳しくない?に反骨回答
東京ヴェルディは今季初勝利をかけ、次節13日にジェフユナイテッド千葉戦(味スタ)に臨む。現在19位にして相手は最下位20位。どちらも勝ち点奪取へ力が入る“裏天王山”だ。
11日、東京・稲城市のクラブハウスで次節に向けたメディア対応。その場で“負けられない一戦”的な紋切り型の問いに、城福浩監督(65)の反骨心が響いた。
「この時点での順位を言うことに意味があるのかっていうのは、僕はもう基本的には思っていますけど。ただ順位って言われるんですよ、こうやって。僕は全く意味がないと思っていますけれども、言うんですよ。言う人がいるっていうことは耳に入るんですよね。それは明らかにやってる選手にとっては影響がないわけではない。勝たなければいけないゲームであることは間違いないですけども、それはどの試合だって同じ。大事なのは自分たちが積み上げられていってるか、この戦力の最大値を構築できていってるかがすごく大事で。ただ、最後はどんな形になったとしても勝ち点を取ることが最優先になっていくと思う。これからどんどん順位を上げていく上でも、千葉だけじゃなくて我々の上にいるチームと引き離されてはいけない。チームの軸をしっかり持ちながら、これ(千葉戦)を僕はあえて大一番と呼ぶかどうかはわかりませんけど、周りの空気感に惑わされず、自分たちをしっかり積み上げていくことが、我々を表現することが一番大事かなと思います」
あくまでも自分たちがやるべきサッカーが積み上げられているか。序盤は結果以上に、この先の勝ち点につながっていくチームとしての戦い方、その基盤を固めることで最終的に勝ち点が大きくなっていくという考え方だ。目先を追うより、足もとを固めると言えば、しっくりくるだろうか。
世間一般で言われる「不調だ」「選手がいない」「戦い方が厳しい」などと、現状の数字をなぞっただけの批評は殊更(ことさら)嫌う。チームでやっている現場感こそが、経験豊かなJFKの現状を知る指標となっている。
実際、前節のセレッソ大阪戦はアウェーながら0-0のドローと粘った。しかも絶好機もあっただけに、勝ち点3を手にしてもおかしくない内容だった。何より苦しい台所事情の中で、例えばDF佐古真礼が3バックの中央で大声を張り上げ、攻守に持ち味を発揮したように、新しい戦力が台頭。チーム力の底上げにつながっている。
「毎試合ベストを尽くして準備をしていますし、出た選手はベストを尽くしてる。ですけども、我々らしさっていうものを出せたかっていうと、ひょっとしたら(第5節の)神戸戦の後半は出したのかもしれない。ただ、(1-0と)リードしている相手なので、それはやらしてもらったっていう僕はレベルだと思っています。我々らしくやれた、我々がどういう姿勢でどこに進入したいかっていうのを本当の意味で見せられたのはセレッソ戦なのかなというふうには思っている。押し込まれた時間帯があり、その時のメンバーがまだまだ成長しなきゃいけないのは十分承知していますけども、それを押し返せるようなところは課題として持ちつつ、我々が過ごしたあの前半というのは絶対に手放しちゃいけないというふうには思います」
大阪から今後への手応えを持ち帰ったことは確か。そこへ岡山から即戦力FWの一美和成が加わったことは間違いなくプラスになる。DF宮原和也、MF森田晃樹といった主力の長期離脱が発表された中、指揮官はどこか光を見つけ出しているようだ。
だからこそ、外野の声には反骨心がうずく。「チーム状況が芳しくない」という世間の見方は受け入れることがない。
「僕も解説(者)を一時期やっていたこともあるのでよく分かりますし、伝える側っていうのはね、それはペンであろうがしゃべりであろうが、なぜ今の成績なのか、成績っていうか勝ち点なのかっていうのを理由をやっぱり言いたがるんですよ。“芳しくない”っていうのは誰が言うかって言ったら、そういう人たちなんですよ。その空気感なんですよ。解説とかも聞いてても、だからこのチームはいいんですと、だからこのチームは良くないんですっていうのを、どうしてもやっぱり分かりやすく伝えたがるので、そういうもんだと思っている。僕ら、空気感に惑わされちゃいけない。何が良くて何ができてないと。それはケガ人が多くて、メンバーの問題も含めてなんですけど、そこは空気感に僕らが惑わされたら、選手が見失っちゃうんですよ、方向を。とはいえ、やってることは正しいと思いながらも、過去のJリーグの例を見たら内容は悪くないけれどもっていうのはいくつも見てきてますよ。なので、僕らはこのチームの本質を常に捉えながら、周りの空気に惑わされないということが一番大事だと思ってます」
言葉は強いが、感情的になることなく、淡々とした物言いだった。
空気感に惑われるな-。勝負の世界に生きてきたJFKのポリシーがくっきりと見えた。【佐藤隆志】