【西武】西武第2に行けばいつも栗山巧がいた…冷たいパイプ椅子に腰掛け打ち明けた相棒への思い
<西武4-1楽天>◇30日◇ベルーナドーム
西武栗山巧外野手(42)が30日、引退試合を行った。取材者に対していつも真摯だった男が、10年前に打ち明けた本音を回顧する。
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かつての西武第2球場、室内練習場の入り口には、数台のパイプ椅子が雨ざらしで置かれていた。
とっぷり日が暮れたオフの所沢は寒さが身に染みた。それでも冷たい椅子に座って待っていれば、栗山と話す機会を持てた。
担当歴がなく、球場であいさつするだけの間柄でも礼儀正しく、縁を大切にしてくれた。凜とした打球音が鳴り止むと、汗をかいた待ち人は必ず椅子に腰をかけた。
たわいもない話をしながらも、バットを両手から離すことはなかった。ギュッと握りしめ、いつもグリップの感触を確かめていた。
10年前の1月。WBCの話題を振ると、芯だけ色が抜けたバットを揺らしながら「僕はもう、侍ジャパンに興味がなくなったんです」とぶっきらぼうに切り出して続けた。
「おかわりがWBCに選ばれなかったでしょ。どこを見ているんだと。ウチの、西武の4番をずっと打ってる男。ナンバーワンのバッターですよ。おかわりを選ばないんやったら、もういいやと」
心底悔しいといった口調に驚いたことを、よく覚えている。
最後の4打席、まずグリップに目が行った。ベストを探し求めた証しだろう。少し浅く変わったトップに気付き、歳月を感じた。いつもクールな中村がついに流した涙に当時を思い出し、変わらぬ2人の絆を垣間見た。【宮下敬至】