佐藤幻瑛

秋の戦いが幕を開ける。仙台6大学の秋季リーグが30日に開幕する。上位2チームは明治神宮大会出場を懸け、東北3連盟(北東北、仙台6大学、南東北)による代表決定戦(10月25日、26日)に出場する。2季ぶりの王座奪還を狙う仙台大は、佐藤幻瑛投手(3年=柏木農)が投手陣の軸を担う。大学日本代表では、最速159キロをマークするなど、進化は止まらない。同大は第2節からの登場で、9月6日に東北大との初戦を迎える。

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何よりも球速にこだわり続けてきた。大学日本代表として、日米大学野球選手権(7月)に出場した佐藤幻。第4戦目の球場がどよめいた。5番手で登板し、自己最速を更新する159キロをたたき出した。「常にマックスを出し続けられる投手というのを追い求めていきたいです」。これが今の最大の目標だ。

ここまでは平たんな道のりではなかった。高校時代は無名の右腕。だが、1年春の全日本大学野球選手権で152キロを計測し、鮮烈デビューを飾った。さらなる高みを目指す一方で、壁も立ちはだかった。「球速を求めすぎたり、考えすぎていた面もありましたけど、1番は球速が急に上がった分、制御することが難しくなりました」。制球が乱れることも多くなった。

進化に適応する体に-。筋力アップを狙い、ウエートを重ねてきた。最大筋力に目を向け、高重量でのトレーニングをひたすらこなした。これが実を結び、手応えを得ている。今春は7試合に登板。計27回を投げ、わずか2失点。防御率は0・67。奪三振率は14・67をマークした。課題に直面し、投球フォームを見直すこともあった。それでも、他人をまねたり、参考にすることはなかった。試行錯誤し、自分なりの投球を求めていく。これが“幻瑛スタイル″だ。

ゆくゆく目指すのは日本人最速。「165キロを出したいです」ときっぱり。ドジャースでプレーする大谷翔平や佐々木朗希らに並ぶ数字を追い求める。この秋は、1年後に控えるドラフトに向けても1戦、1球が大事になってくる。「良い形で自分たちの代につなげるためにも、全員で一丸になって戦いたいです」。チームの勝利と同時に、自らの道も切り開いていく。【木村有優】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 仙台大・佐藤幻瑛「165キロを出したい」2季ぶり王座奪還へ“幻瑛スタイル″で投手陣の軸担う