【阪神】千両役者・佐藤輝明は後輩たちに負けん 10球粘り27号「全体でもっと盛り上げたい」
<ヤクルト1-5阪神>◇2日◇神宮
てるや~! こんなお祭りで球界一の“花火師”が黙っているわけにいかない。4回、阪神佐藤輝明内野手(27)のバットに点火した。あっという間に都心の夜空に舞い上がり、右翼席に吸い込まれた。6試合ぶりの27号アーチだ。
「フルカウントだったので粘り強く、しっかり打ち返せました。なんとか粘れて、本塁打になってくれたのでよかったです」。
2-0の4回先頭。2ストライクに追い込まれてからが佐藤輝の真骨頂だった。高めのつり球を2球連続で見送り、さらに2連続で変化球をファウルにした。10球目、吉村が根負けしたように真ん中低めに投げてきた直球に、力まずバットを合わせた。左の大砲・村上のアーチを見慣れている右翼席の燕党も、虎の怪物にあきらめモードだった。
2回に後輩の小幡と高寺がソロを放り込んでいた。チーム本塁打60本のうち、佐藤輝が半分近くを1人で打っている。ベンチで「出迎え」する機会はそう多くない。同期入団の高寺はまだプロ2号だ。「いいバッティングだったと思います。全体でもっと盛り上げていきたいですね」と後輩たちの活躍を歓迎した。
前日1日は延長10回に決勝の右越え二塁打を放っていた。大好きな神宮では今季も打率3割4厘、3本塁打と好相性を誇る。昨年は甲子園も含めた球場別最多の5本塁打。23年もビジター最多の5本。大事な場面の一撃も数多く、ここに来れば大砲のバットがさらに輝きを増す。
自己最多24本を超えたと思ったら、もう節目の30本が見えてきた。初タイトルへの独り旅も続く。グラウンド内を歩いて引き揚げる際、東京のファンから最も大きな歓声を浴びた。「テル~優勝してくれ~!」。背番号8は「了解」とばかりに笑顔で手を振った。【柏原誠】