ヤクルト対阪神 雨のなかヒーローインタビューを終えファンにあいさつする阪神佐藤輝(撮影・清水貴仁)

<ヤクルト2-3阪神>◇1日◇神宮

やっぱり4番が決めた! 阪神佐藤輝明内野手(26)が決勝二塁打を放ち、優勝マジック36を再点灯させた。同点に追いつかれた直後の延長10回2死二塁の好機で、ヤクルト6番手大西から右越え適時打。打点を67に積み上げ、26本塁打と合わせて2冠を走る主砲が、前日7月31日に一夜で消滅したマジックを再びともした。チームは高校球児に甲子園を明け渡す約1カ月の夏の長期ロード白星発進。今度はマジックを消さずにゴールへ突き進む。

   ◇   ◇   ◇

佐藤輝は二塁ベース上で、力強く何度も手を叩いた。目にグッと力を入れながら、感情を大爆発させた。攻撃が終了し、ベンチに戻ると「よっしゃー!」と叫び、ナインの出迎えを受けた。気持ちが入っていたかの問いに「そりゃそうでしょ!」とハイテンションで即答した。

「チカ(近本)さんがヒットで出た瞬間、チャンスで回ってくると思っていた。心の準備もできていたし、最高の結果になってよかった」

9回裏に2-2に追いつかれて迎えた延長10回表。先頭の近本が左前打で出塁し、2死二塁で4番に打席が回った。一塁が空いていたが申告敬遠はなし。「向こうも勝負しにきているということ。負けるつもりはなかったのでよかった」。大西の落ち球をとらえ、右翼手の頭上を越す勝ち越しの適時二塁打を放った。

この日の神宮は、天気も試合の流れも読みづらかった。台風9号の影響で、試合前練習時は一時大雨。開催も心配されるほどだったが、何とかプレーボールにこぎ着けた。初回に阪神が先制し、6回に2点目を入れるも、7回に失点して再度1点差。9回1死から追いつかれる“荒れた展開”で、10回に虎の主砲が試合を決めた。

試合後、また降り出した雨の中でのお立ち台。東都の虎党の大歓声を浴び「日頃から力になっていますし、今日もすごく後押ししてくれて最後、何とか抜けたと思います」と感謝した。夜空は雲が多かったが、ファンは晴れ晴れと勝利を喜んだ。イニング間に花火が打ち上げられた神宮。本塁打はゼロも左翼スタンドを中心に笑顔の花が咲いた。

チームはこの日から、8カード23試合を甲子園以外で戦う「長期ロード」に突入。シーソーゲームとなった初戦を制し、藤川監督は「最後に取り切れた。ロードの1試合目をとれたのが大きい。神宮のファンの方もうれしそうに最後までいてくれたので、選手も自分たちもスタンドの横を歩いている時に非常に、また明日(2日)頑張ろうという思いになっています」と力を込めた。優勝マジックが36で再点灯。2位巨人とのゲーム差を今季最大の12に広げた。【塚本光】

▼阪神○、中日●の結果、再び中日の自力Vが消滅し、阪神にM36が再点灯した。最初のマジック点灯から1日で消滅、1日で再点灯は97年西武以来、28年ぶり。97年西武は9月18日M12点灯→19日消滅→20日M10再点灯となり、10月3日に優勝を決めた。ほかにもパ・リーグでは89年オリックスが10月5日M8点灯→6日消滅→7日M6再点灯というケースが見られるが、セ・リーグでは今回の阪神が初めてだ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】感情爆発!佐藤輝明V打でM36再点灯「チャンスで回ってくると」長期ロード白星発進