【高校野球】出塁率7割5分!岡山学芸館2連覇の立役者は恐怖の8番打者/岡山
<高校野球岡山大会:岡山学芸館5-4おかやま山陽>◇27日◇決勝◇倉敷マスカットスタジアム
2年連続4度目の甲子園出場を決めた岡山学芸館。今夏の強みは切れ目のない打線だ。
中心は全5試合で8番に座った阿慶田庵俐(あげだ・いおり)外野手(3年)。「自分の仕事は絶対に塁に出ること」。今夏の出塁率は驚異の7割5分だ。3回の第1打席では死球で出塁。後続の適時打で先制のホームを踏んだ。
逆転された直後、5回裏の第2打席は右越えの三塁打。後続の犠飛で再び生還し、再逆転への流れを呼んだ。
佐藤貴博監督(42)も「8番に阿慶田がいるのが大きい。(9番の)投手に犠打の選択肢が生まれる。投手を塁に残さずに好機で上位に回せるからね」と働きぶりを絶賛した。
阿慶田が塁に出れば何かが起きる。それは、野球をはじめ、さまざまなことに誠実に向き合ってきた阿慶田だからこそ持つ力なのかもしれない。
1年秋に右肩を脱臼し、完治するまで半年かかった。しかし、直後に左股関節の故障。約1年プレーできなかった。それでも阿慶田は諦めず、最後の夏を見据えて地道にトレーニングを積んできた。
また、海で溺れそうになった弟を助けようと真っ先に飛び込むなど、人のために行動することをいとわない。合宿先の沖縄では目の前で倒れて意識を失った女性をチームメートと救助し、消防局から表彰されたこともあった。そういった人間性の部分も、野球の神様は見ていたのだろう。
「こと起こし」の働きでチームを2年連続4度目の聖地へ導いた恐怖の8番打者から目が離せない夏になる。【一 樹】