【高校野球】“10人目のスタメン”として 向上・関塚礼、学生コーチの3年間の挑戦/神奈川
<高校野球神奈川大会:東海大相模7-6向上>◇26日◇準決勝◇横浜スタジアム
自力で切り開いた3年間が幕を閉じた。向上の関塚礼学生コーチ(3年)は三塁ベースコーチとして、伝令として、「前に進んでいけ!」と仲間を鼓舞し続けたが、無念のサヨナラ負け。9回に満塁の好機を逃した直後の敗戦に「(チームとして)粘りきれなくて申し訳ない」と涙を流した。
高校で甲子園出場を夢見たが、自身の実力との乖離(かいり)を感じた。「人のために動くのが好き」な性格もあり、学生コーチとして入学する決断をした。
創部60年で初の役職。練習メニュー作成に苦労し、時には先輩を強く叱らなければならなかった。それでも「一緒に学校生活をしているからこそ寄り添える」。不調の選手がいれば声をかけ、1日1000本のティー打撃を行うなど親身に寄り添った。「選手たちと一緒に苦しんで、選手が結果を出したときは本人以上に喜んでいる」。選手の成長が、やりがいだった。
主将の堀颯士郎内野手(3年)をはじめ、仲間は関塚が勝負どころで発する「死ぬ気でやれ」という言葉に背中を押されたという。「103人の部員と指導者の方につくっていただいた学生コーチ。感謝しかない」。今大会全試合で三塁ベースコーチを務めた背番号10。自身も死ぬ気でチームを後押しした姿は、れっきとした「10人目のスタメン」だった。【寺本吏輝】