【高校野球】聖光学院が4連覇 センバツは8強…エース大嶋哲平「夏は春の借りを返す」/福島
<全国高校野球福島大会:聖光学院10ー3会津北嶺>◇25日◇決勝◇ヨークいわきスタジアム
王者は強かった。今春センバツ8強の聖光学院が、4年連続20度目の頂点に輝いた。ノーシードで勝ち上がってきた会津北嶺に10-3で逆転勝ち。この夏は全5試合中、4試合が逆転勝利だった。先発のエース大嶋哲平投手(3年)が3失点完投。103球を投じた光南との準決勝から中1日での登板だったが、ピンチを招きながらも1人で投げ抜いた。打っては長打を含む3安打2打点。投打で甲子園へと導いた。
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最後は直球で勝負した。打ち取った打球を一塁手が捕球し、一塁ベースカバーに走った大嶋へトス。しっかりとボールを受け取ったエースが、ベースを踏んで27個目のアウトを奪った。「このチームが負けなくて良かった」。左手人さし指を突き上げ、マウンドで歓喜の輪をつくった。「とにかくうれしかったです。やっぱり夏は秋春とは違うものがありました」と笑みがはじけた。
エースのプライドを胸に、最終決戦のマウンドに上がった。23日の準決勝では軽い熱中症に見舞われた。症状は吐き気とめまい。「たとえ治らなくても投げるつもりでした。どんなに苦しい時でも投げるのがエースなので」と背番号1を背負う責任を全うするつもりでいた。幸い大事には至らず、ベストコンディションで決勝を迎えた。
今春センバツでは12年ぶりに8強入りを果たした。だが、それ以上に左腕エースにとっては最後の負けが今でも忘れられない。浦和実(埼玉)との準々決勝。4-4で突入した延長タイブレークの10回に一挙8失点。7回途中から登板し、無失点に抑えていた大嶋だったが、犠打を挟んで6連打を浴びて降板した。「あの負けは忘れられません。『あそこで自分が抑えていれば』というのは今でも思います」と唇をかんだ。
悪夢の敗戦だったが、最後の夏につながる収穫も得た。「どんな状況でも焦らない気持ちが必要ということを学びました」。今大会の再三の逆転勝ちを呼び込む粘りの投球にもつながった。センバツでは声援にも一喜一憂していたが、今は周りの雰囲気にも動じなくなった。「夏は春の借りを返すつもりです」。甲子園出場を決めた瞬間から、大嶋のリベンジへの戦いがスタートした。【木村有優】
◆聖光学院 1962年(昭37)に聖光学院工として創立した私立校。77年から現校名。生徒数は602人(女子146人)。野球部も62年創部。部員は115人。甲子園出場は春7度、夏は4年連続20度目。主なOBはロッテ佐藤都志也、阪神湯浅京己ら。所在地は福島県伊達市六角3。新井秀校長。