会津北嶺対聖光学院 9回表会津北嶺二死一塁、一ゴロに倒れる五十嵐(撮影・小島史椰)

<全国高校野球福島大会:聖光学院10-3会津北嶺>◇25日◇決勝◇ヨークいわきスタジアム

笑顔を貫くつもりだったが、会津北嶺の五十嵐悠斗主将(3年)の目からは涙がこぼれた。「キャプテンという立場なので、どんなことがあっても絶対に笑顔で居続けようと思っていましたが…」と赤い目で話した。

大きく突き放されても、太陽のような笑顔でチームを照らし続けた。7点ビハインドの9回2死一塁。導かれるように五十嵐に打席が回った。結果は一ゴロ。ヘッドスライディングで土にまみれながら、聖光学院ナインの歓喜の声を聞いた。「『悔しい』より『楽しかった』という思いが強くて。やりきりました」。悔いはない。それでも、仲間と過ごした日々が頭を駆け巡り、自然と涙がほおを伝った。

地元は栃木ながら、練習参加を通して指導方針に魅力を感じて会津北嶺に進学した。技術面はもちろん、寮生活も経て主体性も備わった。最後の夏は選手宣誓で幕開け。創部8年目で、さらに会津勢としても40年ぶり決勝進出の快挙を成し遂げた。「人生で一番、最高の夏でした」と笑顔で高校野球に幕を下ろした。

卒業後は警察官を目指し、地元へと戻るつもりだ。「福島に来て良かったです」。次なる夢に向け、五十嵐主将が笑って新たな1歩を踏み出した。【木村有優】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】40年ぶり決勝進出の会津北嶺が敗れる 涙の五十嵐主将「やりきりました」/福島