京都外大西対鳥羽 9回裏鳥羽2死満塁、横谷は逆転サヨナラ満塁本塁打を放つ(撮影・石井愛子)

<高校野球京都大会:鳥羽8-7京都外大西>◇25日◇準決勝◇わかさスタジアム京都

さあ、新旧王者対決! 初代全国王者の鳥羽(京都)が逆転サヨナラ満塁弾で10年ぶりの夏甲子園に王手をかけた。

準決勝・京都外大西戦で3点を追う9回2死満塁、4番・横谷乙樹(いつき)内野手(3年)が公式戦1号を劇的アーチで飾った。前身の京都二中時代の1915年に第1回大会を制した伝統校が決勝進出。27日に昨夏第106代全国制覇校の京都国際と対決する。福島では聖光学院、島根では開星が甲子園出場を決めた。

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大飛球が右翼後方に舞い上がる。右翼手が懸命に下がる。球場全体が一瞬静まりかえる中、鳥羽の4番横谷が突き上げた右手を合図に大歓声が響き渡った。苦悩した主砲が9回裏2死満塁フルカウントからサヨナラ逆転満塁弾。松下浩司監督(44)は劇的すぎる幕切れに目を潤ませた。チームメートも涙、涙だ。

9回裏2死一塁の時点で4点ビハインド。絶体絶命の状況から息を吹き返した。二盗と四球で2死一、二塁。2番三沢祐斗内野手(3年)の適時二塁打で3点差に迫り、2死二、三塁。そして、死球で2死満塁。4番横谷が打席に入った。

「仲間が絶対に自分までつないでくれると思って準備していた。絶対に決めてやると思っていました」

2球目は右翼ポール際へ、大ファウル。どよめいた球場に「まさか」を期待する空気が漂い始める。フルカウントで迎えた7球目、得意な内角に入ってきた直球を振り抜いた。

「感触が良かったから行くと思いました」。手応え十分の衝撃弾。高校通算16本目、公式戦初本塁打は野球漫画でも描きづらいほどの劇的アーチだ。

昨秋以降、腰痛でチームを離脱する期間があった。腐らず自分の打撃を見つめ直した。体幹を鍛え、軸がブレないフォームを手に入れた。この日は低めの直球に体勢を崩さずフェンスオーバー。地道な努力が詰まった1発だった。

打線は今大会4試合すべてで2桁安打を記録。1度つながると止まらない強力打線の中でも、4番の存在感は別格だ。松下監督は試合後、「横谷で決まらなかったらこの試合はないと思っていた。そりゃあ涙も出ますよ」と照れ笑いした。

決勝の相手は昨夏全国王者の京都国際。京都二中時代に第1回大会で全国制覇をしている鳥羽との新旧王者対決となる。昨夏V左腕の京都国際・西村とのマッチアップに向け、横谷は「鳥羽のつなぐ野球で挑みたい」と力強い。劇的勝利の勢いも味方につける。【佐藤奨真】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】逆転サヨナラ満塁弾の鳥羽・横谷乙樹「絶対に決めてやると」松下監督は涙/京都