【西武】隅田知一郎が「俺が…」と開いてくれた未来 妹・葵さんが兄からもらった青春に感謝
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オールスターで初登板した西武の隅田知一郎投手(25)は、家族の“スター”でもある。妹の葵さん(22=西日本工大4年)は「本当に感謝しています」と話す。兄と同じ野球部でマネジャーを4年間務めあげ、今回、就職も内定した。
「大学、行くと? 迷ってるなら俺が払ってあげるから、行けばいいやん」
5年前。ドラフト1位指名がほぼ確実視された兄が帰省し、そう切り出してきたのは高校3年生の時。夢は保育士だった。「でもピアノ、弾けなくて…」。共働きの両親を助けようと就職を前向きに考えたけれど「高校に来た求人にドンピシャのがなくて…」。兄はそんな状況で、進学という選択肢をくれた。
学費を兄が払ってくれる-。「うれしさよりも申し訳なさ、でしたね」。でも、甘えた。同じ野球部に入って4年間を過ごした。
「めちゃくちゃ充実でした。めちゃくちゃ人としゃべれるようになりました。私、親の後ろに隠れるくらい人見知りだったのに」
切り開いてくれたのは兄だ。葵さんも小学校では6年間、野球をやった。左打ち。兄の投球練習で左打席に立たされ、どんどん内角を攻められた。「当てられて泣かされたり。お兄ちゃん、めっちゃスパルタ。鍛えられました」。と言いつつ、いつも里山を駆け回る兄の後ろを走ってついていく毎日が大好きだった。
キャンパスライフも、もう少し。感謝しかない。「お兄ちゃんが進学のことを話してくれたから、いまこうして毎日楽しめてるし、就職もちゃんとできた。本当にありがたいことなんですよね。そう思います」。来春から福岡市内で働く。「社会に出るの不安ですけど…楽しみもあります!!」。大丈夫。兄だって入寮日に財布を忘れたくらいだし。【金子真仁】