【高校野球】東海大相模のプロ注目150キロ右腕・福田拓翔が夏初先発 今の自己評価は/神奈川
<高校野球神奈川大会:東海大相模5-2日大高>◇22日◇準々決勝◇サーティーフォー相模原球場
ベスト4進出を決め、東海大相模・福田拓翔投手(3年)が取材対応の場にやって来た。
まだ少し呼吸が乱れている。今夏の初先発。マウンド自体は8回途中で降り、リリーフに託していた。そこから30分近くは過ぎていたはずだ。
「久しぶりに先発して。公式戦のロングっていうのが秋以降なかったので、自分的にもこういう大舞台で精神的にも張り詰めてるものもあって」
体の疲れだけじゃない。
「でも、自分の持っているものをまず出そうと思ってやってきて、それができたことで、けっこう疲れたのはあります」
2失点。最速150キロという直球は、この日は140キロ前後。1年前に「ドラフト上位候補」と形容されていた右腕は、その後右肘を痛め、描いていた1年間は歩めなかった。
各方面から絶賛されていた、自身の能力をいかんなく発揮していた時期を仮に「10」とするならば今は。
「状態的にはけっこう上がってきていて。8くらいだと」
原俊介監督(47)の意見もエースと近く、同じ問いかけに「8割5分くらいだと思いますね」とした。
右打者にも左打者にも内角をしっかり突いていたものの、球威はまだ「10」ではない。104球を投げ、直球の空振りはわずか2球にとどまった。
「日大高校さんも大振りせず、芯に当てる(ことを優先する)ように見えたので、僕自身も三振にこだわらずに」
そうは言ったものの、奥底の理想はやはり。
「甘い球は1球で仕留められてしまう感じはあったので。甘く投げてもノビやキレでファウルや空振りを取れるようにやっていきたいです」
マウンドで孤独に抱え込まず、周囲と言葉を交わしながら。球速も奪三振もほしいけれど、まずは何よりも勝ちたい夏だ。
ちょうど取材対応の時間帯、ライバルの横浜高校が9回裏で1点を追いかけていた。「打倒横浜」はずっと掲げてきた。でも。
「相手がどことかで僕たちの気持ちが揺るがないように。神奈川制覇、甲子園で日本一。そこもずっと言ってきたことなので。とにかく準決勝の相手を倒すことだけ考えてやっていきたいです」
そんな熱を持ったエースらの報道対応が終わったころ、球場の本部席がどよめいた。横浜が土壇場でサヨナラ勝ちを決める映像が届いていた。【金子真仁】