【高校野球】金沢学院大付・松田主将、苦しい1年最後の言葉 応えた後輩「うれしかった」/石川
<高校野球石川大会:金沢商6-5金沢学院大付>◇20日◇3回戦◇石川県立
3点を追う9回。金沢学院大付の主将、松田煌也捕手(3年)は勢いよくベンチを出た。
ネクスト・バッタースボックスの後輩、塚本悠希内野手(2年)に耳打ちした。「投手は疲れているから、浮いてきた直球を狙っていけ」。塚本はアドバイス通り、高めの速球を狙いすました。左翼場外に消えていく2ランで1点差に詰め寄った。惜しくも追い上げは届かなかったが、松田は「うれしかったですね」と少し笑みを浮かべた。
8番打者の松田主将はこの回の先頭で、捕邪飛に倒れていた。ベンチに戻ってタオルで丸刈りの頭をぬぐうと、すぐ最前列に陣取った。大きなアクションを交えて声を張り上げた。つらいことばかりだった1年間のラストだ。打てなかった悔しさは押し殺して、自分の心にムチを打った。
新チーム結成直後からチームがまとまらず、雰囲気も悪かったという。松田は「高校野球は今しかやれないんだから、楽しく、暴れよう」と声をかけ、モチベーションのアップに努めたが「なかなか気持ちが1つにならなかった」と苦しんだ。
副主将の永田樹皇(じゅおう)外野手(3年)は「いざこざも多くて、勝ち続けていくにはどうしたらいいか、松田と一緒に考えていた。下を向かず、何とか一泡吹かせたいと思っていた。ここで負けるつもりじゃなかった」と、しゃくり上げながら、苦悩の1年間を振り返った。
力のある選手がそろっている代だったが、力を出し切れずに終わりを迎えた。最後に本塁打を放った塚本が言う。「後ろの3年生に託そうと思って打席に入りました。松田さんら3年生が頑張って、チームを立て直してくれた。自分たちが甲子園に出て、3年生に恩返しをしたいです」と涙で感謝の言葉を連ねた。