巨人対阪神 11回表阪神1死一塁、佐藤輝(中央)は2点本塁打を放ち森下らナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)

<巨人0-4阪神>◇19日◇東京ドーム

虎はやっぱ強いわ! 阪神佐藤輝明内野手(26)が、プロ5年目でキャリアハイとなる25号を決勝2ランで飾った。0-0の延長11回。巨人5番手船迫の変化球を完璧にとらえた特大弾を右中間席に運んだ。チームは本塁打&打点で2冠を走る4番の千金弾で連敗を2でストップ。球宴前に2位巨人の自力Vを消し、ゲーム差を今季最大の10に拡大した。今季対戦成績を12勝4敗とし、球団初となる前半戦での伝統の一戦勝ち越しにも王手をかけた。

   ◇   ◇   ◇

これぞ4番だ。佐藤輝の一撃に球場がドッと沸く。両軍投手陣が0を並べて迎えた延長11回。東京ドームに深く敷かれた長打警戒の守備隊形も、自慢のパワーが打ち破った。巨人外野陣の頭を悠々と越え、右中間席深部に突き刺した。悲鳴と歓声が交錯する東京ドームで、悠々とダイヤモンドを回った。

「最高の場面で出たので、これ以上ない気持ち。本当に打った瞬間でした」

1死一塁。巨人船迫の低め136キロ曲がり球を完璧に捉えた。「3球同じ球だったと思う。うまくアジャストできた」。会心の決勝2ランは、キャリアハイの25号となった。今季チーム最長の連続無得点を23イニングで止め、連敗も2で止める千金弾。前日にも「ジャイアンツを倒さないと上にはいけない」と語ってい男が巨人の自力Vを消す、有言実行のG倒を決めた。

ともに両リーグトップを走る25本塁打&64打点目。21年、23年の自身最多24本塁打を球宴前に軽々と打ち破った。球団初となる新人から5年連続100三振にあと1に迫っているが、これも佐藤輝の魅力の1つだろう。シーズン40発ペースで積み上げる本塁打。それでも「通過点でしかないので、明日からまたひとつずつ積み重ねられるように頑張ります」と浮かれることはなかった。

アーチストとしての才能が開花の時を迎えている今季。プロ入り前の近大時代から飛ばし屋ぶりは変わらない。打った打球はグラウンドの防球ネットすら超え、近隣住民から“苦情”とともにボールを大学に持ってこられることもしばしば。ついに野球部は高台にある別のグラウンドで練習するようになり、卒業と同時に元のグラウンドに戻ったという伝説を残した。

阪神にドラフト1位指名されて技術を磨き、試行錯誤を重ねたプロ5年目。「もっと打ちたいのでね。別に25本を目標にしてやってきたわけじゃないので」と貪欲に言った。プロ入り時から掲げていた目標のひとつが「本塁打王」。シーズンが終わるまで緩みは見せない。

チームは巨人戦通算900勝(1131敗77分け)のおまけつきで、2位巨人に今季最大10ゲーム差をつけた。20日も勝てば、球団史上初となる球宴前の巨人戦シーズン勝ち越しも決まる。藤川監督も「本当に待っているものが出ましたね。素晴らしかったと思います」と絶賛した主砲の働き。テルの1発が、またも勝利を呼んだ。【波部俊之介】

▼阪神と2位巨人の差が今季最大の10ゲームに開いた。阪神が2位に2桁ゲーム差は6度目で、88試合目は03年の57試合目、08年の73試合目に次いで早く、球宴前も03、08年に次いで3度目。藤川監督は就任1年目で、阪神の新人監督が2位に2桁ゲーム差は初めてだ。昨年のパ・リーグで1年目の小久保監督(ソフトバンク)が65試合目で10ゲーム差つけたが、セ・リーグの新人監督では02年原監督(巨人)の87試合目に次ぐ2番目のスピードで2桁ゲーム差をつけた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】佐藤輝明がキャリアハイ25号決勝2ラン「これ以上ない気持ち」有言実行のG倒