【高校野球】八王子学園八王子のプロ注目・新井唯斗「仲間たちと甲子園に」2安打1得点/西東京
<高校野球西東京大会:八王子学園八王子7-3大成>◇15日◇3回戦◇府中市民球場
高卒プロ入りと、2016年以来の甲子園の2つを追いかける。第2シード・八王子学園八王子のプロ注目遊撃手、新井唯斗主将(3年)が2安打1得点で初戦突破に貢献した。
雨天のグラウンドコンディションで予定より15分遅れとなった第1試合。バックネット裏で複数球団のスカウトが視察する中、1番打者の新井は「とにかく塁に出る」と高い集中力を発揮した。
2点先制を許した後の初回先頭、相手右腕の低め直球を引っ張って一塁強襲の内野安打から好機を演出。4回は足でも見せた。内野安打から同点の2死一、二塁、3番佐藤の中前打で三塁を回ると一気に加速。鮮やかなスライディングで勝ち越しのホームを踏んだ。
内野に立てば、ひときわ目立つ183センチの上背は可能性の塊そのもの。50メートル走6秒0の俊足を生かした守備範囲の広さに加え、遠投100メートル超の強肩もある。
西武の秋元宏作球団本部副本部長は「センスがあり、素材は本当にいいものがある。スイングも癖がなく、二塁からの走塁はスピード感もある」と評価した。
春季東京大会は全5試合21打数11安打6打点と大暴れしたが、春先に外野から転向した遊撃の守備に泣かされた。5月3日の東亜学園との準決勝は3-2の延長10回タイブレークの末、自身の悪送球が原因となり、サヨナラ負けを喫した。
1大会6失策。「転向してから間もないけど言い訳にはできない」と新井には落ち込む暇などなかった。朝練やオフでも正面のゴロ捕球からのスムーズな送球動作を追い求め、最後の夏は「失策ゼロ」を目標に掲げた。この日は、5度の守備機会で無失策と安定していた。
同校から直接のプロ入りは21年の西武羽田慎之介投手以来だが、野手は創部初になるという。高卒でのプロ入りを実現するためにも、9年ぶりの夏の聖地でアピールしたい。もっとも、こう言った。
「プロよりもまず今の仲間たちと甲子園に行きたい思いが強い。その過程の中でいい評価をしてくれたらうれしい」
最後の夏はチームの勝利のために、異彩を放つ。【泉光太郎】