西武対日本ハム 完投勝利で今季6勝目を挙げ、祝福される日本ハム達(中央)(撮影・菅敏)

<西武1-2日本ハム>◇14日◇東京ドーム

日本ハム達孝太投手(21)がデビューから全試合先発での連勝日本記録を「7」に伸ばした。

初出場が決まっているオールスター前最後の先発は9回1失点で今季2度目の完投勝利。プロ最多の122球の熱投で6勝目を挙げた。侍ジャパン井端監督も視察に訪れた試合で投げる「たっちゃん」が魅力を存分に披露。来春WBCでの世界デビューへ向けてもアピールに成功した。チームはリーグ50勝一番乗りで、貯金18は新庄体制最多となった。

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少し気落ちしていた達にとって、異様なムードが活力となった。6月29日に続いてネビンにプロ初完封を阻止される9号ソロを浴びた7回。「最悪っすね」と天を仰ぎ、続く山村に四球を与えて1死一塁となった場面だ。代走滝沢に、けん制すると西武ファンから大ブーイングが起きた。ナーバスになりそうなシーンだったが、逆に達の気分は再び盛り上がった。

達 けん制したらブーイングがちょっとすごかったんで、ちょっと楽しくなって。ブーイングされることって、あんまないじゃないですか。結構、楽しくないですか。「あー、されてるんや」みたいな(笑い)。

続けざまに、もう1球けん制した。再び大ブーイングを浴びた…いや、自ら浴びに行っていた。

達 楽しくなって、もう1回、投げちゃいました。「これ、けん制にブーイングされてるんかな」っていう確認も込めて(笑い)。

194センチの体に地響きのような大音量の「ブー」を注入すると、後続をピシャリ。8、9回も安打を許さず、今季2度目の完投勝利。これで自身が持つデビューから全試合先発での連勝記録を「7」に伸ばした。

名字から「たっちゃん」という愛称で呼ばれている水谷に点を取ってくれるよう5回の攻撃前に「お願いします」とリクエストすると、本当に決勝9号2ランを打ってくれた。そんな勝ち運にも恵まれる日本球界のニュースターに、この日は侍ジャパンの井端監督も熱視線を送っていた。

試合前練習後に取材に応じた井端監督は来春のWBCへ向けて、達も注目しているかと問われて「当然。負けないですしね、非常にいいことかなと思います」と話していた。将来はメジャーで活躍することが目標の達も「(WBCに)1回、行ってみたいですね」と野望を抱くだけに、アピール成功。前回大会ではミドルネームの達治(たつじ)から愛称「たっちゃん」だった外野手のヌートバーが大活躍したが、来春は勝ち続ける強心臓の投手「たっちゃん」が世界一に貢献しているかも、しれない。【木下大輔】

▼達が今季6勝目を挙げ、22年のデビューから無傷の7連勝。デビューから7連勝は86、87年松浦宏明の球団記録に並んだ。松浦は救援勝利を含んでいたが、達は通算10試合が全て先発。初登板から全試合先発での無傷連勝は6連勝の時点でプロ野球初となっており、自身の記録を更新した。完投は6月29日西武戦に次いで2度目。投球122球は前回完投時の115球を上回る自己最多だった。

▼日本ハムがリーグ最速で50勝到達。日本ハムのパ・リーグ50勝一番乗りは、12年以来13年ぶり8度目。過去7度はすべて2位以上で、4度優勝している。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本ハム】達孝太デビューから先発無傷7連勝 「楽しくないですか」自らブーイング浴び活力に