新宿対帝京 3回裏帝京1死一、三塁、左3点本塁打を放ち、生還する梅景(撮影・小島史椰)

<高校野球東東京大会:帝京12-0新宿>◇14日◇3回戦◇神宮

試合前からどんよりとした曇り空。天気と同じく2回まで互いに無安打だった停滞気味のゲームは、名門の4番を担う男の一振りで流れが一気に動いた。

相手の失策や内野安打が絡んで1点を先制した直後の3回なお1死一、三塁。帝京(東東京)の梅景大地主将(3年)がカウント2-0から浮いたチェンジアップを強振。左翼席へ運ぶ3ラン。ゆっくりとした足取りでグラウンドを1周し、一塁側ベンチは晴れ渡った青空のように盛り上がった。

「前の打席ではチャンスで打てなかったので、次は絶対に打ってやろうと思って打席に入りました。前にいいバッターがいるので、たまったランナーかえすのが自分の役目」。ドジャースのムーキー・ベッツ内野手(32)のタイミングの取り方や間合いを参考に高校最後の夏に挑み、“帝京のベッツ”が初戦から与えられた役割をきっちり務め上げた。

巨人郡拓也捕手、ソフトバンク中村晃外野手、DeNA山崎康晃投手、日本ハム松本剛外野手、ヤクルト清水昇投手ら多くのOBが今もNPBで活躍。春夏合わせて甲子園出場は26度を誇り、このうち全国制覇は3度成し遂げた。近年は甲子園をあと1歩のところで逃し、11年夏を最後に遠ざかる。昨夏は東東京決勝に進みながら関東第一に敗戦。あの悔しさを胸に刻み、チームスローガン「超越」を掲げ14年ぶりの東東京制覇を期す。

終わってみれば、12-0で5回コールド勝ちと好スタートを切った。金田優哉監督は「キャプテンが一振りで流れを変えてくれた。すごく価値あるホームランを打ってくれた」と活躍をたたえ、梅景は「14年甲子園に出ていませんが、歴史を変える。その強い思いでこの1年練習してきました。今年は甲子園を出る。夢じゃなくて目標です」と力強く宣言。第2シードから頂点を見据える視界には雲1つ見えない。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】帝京5回コールド発進 「帝京のベッツ」梅景大地主将3ランで流れ引き寄せる/東東京