狭山清陵対慶応志木 サヨナラ勝ちをし、涙を流す慶応志木・石塚監督(中央)(撮影・小島史椰)

<高校野球埼玉大会:慶応志木8-7狭山清陵>◇13日◇2回戦◇川口市営

笑顔のナインとは対照的に、大学生監督の涙は止まらなかった。埼玉の「KEIO」が劇的勝利で初戦を突破。慶応志木が延長10回タイブレークの末、3時間11分にわたる試合を逆転サヨナラで制した。

5-7で迎えた10回裏1死一、二塁。チームのムードメーカー、4番の勝呂海里内野手(3年)は「ストレートを張っていたら、いいところに来た」と二塁手の頭上を越える適時打を放ち、1点差。「勝呂が打てば、チームが乗ってくる」という石塚大起監督(20)の言葉どおり、流れを一気に引き寄せた。

さらに適時内野安打で追いつき、1死満塁。センターへ上がった浅い飛球に、三塁走者の勝呂は「ここで突っ込まないと、プライドが負けたような気がして」と迷わずスタートを切った。本塁へ渾身(こんしん)のヘッドスライディング。セーフ判定に仲間たちと抱きあった。

慶大法学部の現役大学生で県内最年少の石塚監督は、これが新チームになってから初勝利で「勝ちたいっていう思いと、負けるんじゃないかっていう不安がずっとあって」と、大粒の涙と一緒に苦しかった胸の内を吐き出した。「未熟だからこそ学ばせてもらっている」と選手たちに寄り添いながら、作り上げたチームだ。勝呂は「下を向いていても始まらない。自分のプレーをやりきれ」と励ましてくれた監督の言葉が忘れられない。互いに試行錯誤で手にした1勝。指揮官は「若いチームだからこそ、勢いに乗ったときは強い」。夏は、まだ終わらない。【山本佳央】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】慶応志木・20歳慶大生監督、逆転サヨナラ勝ちで号泣…試行錯誤でつかんだ白星/埼玉