由利対金足農 4回、雄叫びをあげながら投球する金足農・吉田(撮影・高橋香奈)

<全国高校野球選手権秋田大会:金足農7-0由利>◇11日◇2回戦◇グリーンスタジアムよこて

金足農の吉田大輝投手(3年)が2年連続夏甲子園出場に向けて好発進した。11日、秋田大会2回戦で由利と対戦。今夏初戦に「6番投手」で先発した吉田は5回2安打無失点、打っても2安打2打点の活躍を見せ、チームを7-0の7回コールド勝利に導いた。この日の最速は142キロをマーク。18年夏の甲子園で“カナノウ旋風”を巻き起こして準Vに輝いた兄・オリックス吉田輝星投手(24)を超える全国制覇を目標に、挑戦の夏が始まった。

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ギアを一段と上げた。3回に4点を奪い、リードを広げて迎えた4回。吉田は由利の先頭打者・2番桜山に空を切らせると、3番木村を見逃し三振に抑えて2者連続三振。4番阿部も三ゴロに打ち取ると、マウンドを降りながらほえた。

「チームとしても流れを持ってきていたところだったので。そのあたりから、ちゃんと指にかかって、変化球も下に集まりだして、いい投球ができたかなと思います」

立ち上がりは不安定だった。前の試合が延長12回と長引き、試合開始は予定の午後2時を大きく越えた午後4時10分。1回いきなり安打を許し、次の打者には死球。自らのけん制と捕手渡部の盗塁阻止で結果的に3人で抑えたが、ひやりとさせた。

「野手のおかげで波にも乗れたので感謝して」と2回以降は危なげなし。最速146キロを誇る速球はこの日は142キロ止まりだったが、気持ちはこもっていた。5回に4つ目の三振を奪ったときもほえ、「低めにいこうと思ったら浮いてしまったんですけど、気持ちがこもってたので三振がとれたんだと思います」。5回2安打無失点、三塁を踏ませぬ投球だった。

打でも躍動した。3回2死一、二塁で右前適時打、4回2死一、三塁からも中前適時打を放った。打線は6安打で7得点。吉田も「打力がチームとして結果を残せていなかった中で、初戦でコールド発進できた。ほんとに勢いづく1勝になったのかなと思います」と手応えを示した。

兄輝星から、開会式前日に「もう1回甲子園行けよ」とLINE(ライン)で激励を受けた。「ありがとう。絶対に行くから、また見に来てね」と返信したという。

最高のスタートをきり、吉田もチームメートと一緒に「全力校歌」を体全体で体現した。「(甲子園では)輝星の時は優勝できなくて、自分たちは1回も校歌を歌えなくて、1回戦で負けてしまったので。今年はラストの年なので死ぬ気でチームみんなでつかみとりたいと思います」。聖地で校歌を歌うまで、歩みを止めない。【高橋香奈】

◆吉田大輝(よしだ・たいき)2007年(平19)4月23日生まれ、秋田県潟上市出身。小学1年冬に天王ヴィクトリーズで野球を始め、天王中では軟式野球部と硬式のネオ・グリッターズでプレー。金足農では1年春からベンチ入りし23年秋季東北大会8強、昨年エースとして夏の甲子園出場に貢献した。179センチ、86キロ。右投げ右打ち。血液型はA。

◆18年夏の吉田輝星 秋田大会では全5試合を1人で投げ抜き(3完封)、43回で57奪三振。第100回記念大会の甲子園では、1回戦から準決勝まで5試合連続完投で秋田県勢103年ぶりの決勝進出。決勝では藤原恭大、根尾昂らの大阪桐蔭に5回12失点と打たれたが、秋田大会初戦から11試合で1517球を投げ、119三振を奪った。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】金足農・吉田大輝「死ぬ気でつかみとりたい」聖地へ初戦突破 兄輝星から激励/秋田