【高校野球】関根学園エース鈴木興丞が熱投184球 糸魚川との11回タイブレーク制す/新潟
<高校野球新潟大会:関根学園4-3糸魚川>◇10日◇2回戦◇柏崎市佐藤池
関根学園が延長11回タイブレークの末、4-3で糸魚川を破った。右サイドスローのエース鈴木興丞(3年)が14安打を許しながらも184球で完投。プロ注目の糸魚川の本格派右腕、山岸宥稀(3年)に投げ勝った。
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一瞬、天を仰いだ鈴木は、184球を投じた右腕を突き上げ、人さし指を立てた。「勝ててホッとした」。最後の打者を二飛に打ち取ると、喜びよりも安堵(あんど)感が押し寄せてきた。
無死一、二塁から始まるタイブレーク。4-2とリードした11回裏1死一、二塁から、この日許した14安打目の中前打に失策が絡んで1点差に追い上げられた。それでも強気だ。外に逃げる変化球を踏み込んで打ってくる相手打線に「あえて外の球を使った」。逃げずに得意のスライダーで勝負。次打者を三振、最後は二飛。2時間41分の熱戦にピリオドを打った。
安川巧塁監督(33)は「本当によく投げた」とエースをたたえた。タイブレークに入り、疲労が見え始めた鈴木に言った。「全部お前にやらせる。覚悟を決めろ」。鈴木もその言葉を待っていた。「もちろん最後までいくつもりだった」。タイブレークでは1点を失ったが、出した走者は安打の1人だけ。しかもこの日は無四球。無駄な走者は許さない。
したたかさも見せた。「夏まで取っておいた」というスプリットの封印をこの試合で解いた。2-2の9回裏2死満塁のサヨナラのピンチ。糸魚川の3番、エースの山岸を打席に迎えた。8回に1-1に追い付かれる適時二塁打を左中間に打たれている。その難敵をスプリットで空振り三振に切って取り、タイブレークに持ち込んだ。
投げ込みで調整してきた。中2日で100球、その間も投球練習で20、30球。必ず捕手を座らせた。投げ切るスタミナ、そして、エースで主将としてチームをけん引するメンタルをあらためて形にした。「大きな山を越えた。でも、まだ先がある」。初の甲子園へ。鉄腕を振るう夏は続く。