国士舘の桐田龍都

追うのは、春にセンバツ出場した弟の背中だ。11日に初戦を迎える国士舘。今春から主将となった桐田龍都捕手(3年)には二松学舎大付(東東京)でプレーする弟の瑞稀外野手(2年)がいる。

少年時代から切磋琢磨(せっさたくま)し、先に聖地の土を踏んだ家族の存在を刺激に変え、「最後は負けたくない」と西東京大会では三塁コーチャーとしてチームを鼓舞する。

4歳から野球を始めた龍都は、小学生で軟式チーム「若木ベースボールクラブ」に所属した。その兄を見て、一緒に白球を追ったのが1歳下の瑞稀だった。

チームではバッテリーも組んだ。投手の弟が試合中にふてくされた様子に、捕手の兄がかつを入れようと全力で返球し、「兄弟げんかをしてしまった」(龍都)ことは今でも懐かしい思い出だという。

中学は龍都が軟式野球部、瑞稀は硬式クラブと互いに別々の道を歩んだ。

「今は(弟と)会ってもそんなに話さない」と言う兄だが、「自分よりも大きな存在。でも、小学校の時より(弟に)負けたくない気持ちが強くなった」のは今年の春のことだ。

3月23日のセンバツの花巻東(岩手)戦、瑞希が左翼手で途中出場した。龍都は直接応援をすることはできなかったが、自宅に戻ると、玄関には甲子園の土が入った瓶が置かれていたという。

「小さい時に夢に見た甲子園だった」。一方、国士舘は春季東京大会3回戦敗退でシード権を逃した。それでも、「行くのは今年の夏しかない」と龍都には悩んでいる暇はなかった。

4月中旬にチーム事情でキャプテンを任された後は積極的にミーティングを増やすなど再びチームを立て直してきたという。

瑞稀がいる二松学舎大付は6日の東東京大会の開幕試合を5回コールド勝ちで一足早くスタートした。

春夏11度の全国出場歴のある国士舘だが、夏は05年のみ。今大会はノーシードから第3シードの国学院久我山や第4シードの日大鶴ケ丘がひしめく激戦ゾーンを戦う。背番号12の三塁コーチャーとして最後の夏に挑む兄は八王子北との初戦へ力強く誓った。

「東と西で一緒に全国に行けたらと思うし、夏で見返したい」

ライバルの弟と再会するのは、20年ぶりの夏の甲子園しかない。【泉光太郎】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】国士舘・桐田龍都「東と西で一緒に全国」センバツ出場の弟追って11日初戦/西東京