【阪神】佐藤輝明、球団5000勝に導くV打「長打はチャンスがあったら」好機で柔軟な対応
<広島1-6阪神>◇8日◇マツダスタジアム
首位阪神が2位広島との直接対決第1ラウンドで快勝し、優勝した23年9月以来の9連勝でゲーム差を今季最大の7・5に広げた。4番佐藤輝明内野手(26)が初回に先制決勝の2点タイムリー。トップ森下の56打点に並び、21本塁打と合わせて2冠に返り咲いた。4番が勢いづけた打線は11安打6得点で広島投手陣を圧倒。23年に2リーグ分立後の球団8000号、昨年は球団8500号を放った佐藤輝が、今度は6球団目の5000勝も導いた。
◇ ◇ ◇
猛虎史に刻む節目の勝利を導いたのは、4番の一振りだった。初回1死二、三塁。先発床田の外角低めに逃げる139キロカットボールを、佐藤輝がお手本のようにピッチャーの足元へはじき返した。前進守備を敷いていた広島内野陣。狭い二遊間を破る先制の2点中前打を放ち、開始10分足らずで流れを引き寄せた。
「チャンスで回してくれたので。何とか1本出そうと思っていきました」
フルカウントから捉えた一打だった。昨季は3割6分4厘と好相性だった床田。一方、今季は9打数1安打で1割1分1厘と抑え込まれていた。好左腕からいきなりの2打点。今季56打点目となり、森下と並んで再び両リーグトップに躍り出た。21本塁打と合わせて打撃2冠の奪還だ。「(森下と)いい争いができているので。最後までこういう感じでいけたら」と充実の汗をぬぐった。
この1勝で阪神はNPB6球団目の通算5000勝に到達。23年5月19日の広島戦で球団通算8000号、昨年4月5日の巨人戦では球団8500号となるメモリアルアーチも決めた男が、またも球団の節目を飾った。ヒーローインタビューでは「最高です!」と笑顔。地元西宮市出身の元阪神ファンでタイガースジュニア出身のスラッガー。球団史にも名を残し続ける巡り合わせにも「持ってる男」を感じさせる。
いきなりのチャンスで、フルカウントからの一打。フルスイングではなく、丁寧にセンター方向へミートした。豪快な打撃が魅力だが、得点圏に走者を置いた場面や、2ストライク後には意識を切り替える。「長打はチャンスがあったらという感じですね」。ここぞの柔軟さを持ち合わせているから打点も積み上がる。 7回には右中間への三塁打を放ち、2試合連続のマルチ安打。7月は7試合で月間3割4分6厘、1本塁打6打点と大暴れを続けている。「日々いろいろ修正しながら。打てるときに打っていきたいです」とまだまだ貪欲だ。
優勝した23年9月以来、2年ぶりの9連勝を導いた一打。2位広島との直接対決第1ラウンドで完勝し、今季最大の7・5ゲーム差をつけた。「ピッチャーも抑えてくれるし、いいところでみんな打っているので。明日からも頑張ります」。快進撃の中心に、テルがいる。【波部俊之介】