【高校野球】「青森一の遊撃手」に…青森北・赤田叶真、小柄ゆえの悩み乗り越え最後の夏へ/青森
<東北地区注目選手紹介:連載5>
第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕、甲子園)出場を懸け、今週から東北各地で熱戦が繰り広げられる。東北6県版では各県の注目校や選手を紹介する。最終回は今春42年ぶりの東北大会出場を果たした青森北。守備の要を担う赤田叶真(きょうま)内野手(3年)は「青森一の遊撃手」を目指す。小柄ゆえの悩みを乗り越え、極め抜いてきた守備で勝利に導く。
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身長168センチ、体重60キロと小柄な赤田の守備力はピカイチだ。「自分は小さくて細いので、ひたすら守備を伸ばしてきました」。野球を始めた小1の時から磨き続けてきた。青森北でも守備力を買われ、1年夏からベンチ入り。軽やかかつ、堅実なプレーで、幾度となくチームを救ってきた。工藤公治監督(53)も「華麗な守備」と大絶賛。「赤田の守備に助けられることもたくさんあります」と話した。
守備力は小学生時代、自宅での「テニスボールノック」で培った。居間の机や椅子を移動し、スペースを確保。そこで、父親に木の板でつくった特製ラケットでテニスボールを打ってもらっていた。「暇さえあれば何時間でもやっていました」と食事や入浴以外は、ひたすら捕り続けた。
今では誰もが認める守備職人。だが、小柄な体格に悩むときもあった。「プロ注目の同学年バッターを見ると、『自分も体が大きければ、あれくらい打てるのかな…』と思ってしまいます」と吐露。それでも「体が大きいと今と同じ守備はできなくなると思うので、自分は自分でプレーしています」と信念を貫いた。
ここまで公式戦での失策は、わずか1つ。その1つが今でも忘れられない。1年夏の弘前東戦。正面のゴロを捕球するも、投げ急ぎ悪送球。失点につながった。「やってしまった…」。自慢の守備での失敗に肩を落とした。「もうあんな思いはしたくないので、絶対にミスしたくないです」。これが赤田に火を付け、さらなる守備力強化に力を入れた。
最後の夏、初戦が14日に迫る。「強豪私学を倒して、甲子園に行きたいです」。誰よりも大きな存在となり、青森を制すつもりだ。【木村有優】
◆赤田叶真(あかだ・きょうま)2007年(平19)8月22日生まれ、青森県東通村出身。小1時に東通イースターズで野球を始め、東通中では軟式野球部に所属。青森北では1年夏に初のベンチ入り。168センチ、60キロ。50メートル走6秒5。右投げ右打ち。好きな野球選手は土田龍空(中日)。趣味はスノーボード。
○…42年ぶりの東北大会は収穫ありだった。赤田と三遊間を組む蝦名りく内野手(3年)は「1球の勝負で負けたので、夏は1球を大事にしていきたいです」と振り返った。昨夏甲子園出場の聖和学園(宮城)との初戦は、2点リードの4回に逆転3ランを浴び敗れた。たった1球が勝負を決めた。昨秋青森大会は弘前学院聖愛に0-6で敗れ、3回戦敗退。それからは「1球の重み」にこだわってきたつもりだった。それでも「まだまだ足りませんでした」。さらに1球の大切さを痛感した大きな敗戦だった。
課題であるメンタル面にも向き合っている。「大事なところで打てなかったり、ミスをしてしまいます」と、焦りが悪い結果を招くことがあった。「苦しい場面だからこそ、楽しむようにしています」。打席に入る前には2度のスイングをルーティン化。1度目は全力、2度目は丁寧に。「打席に入るとネガティブになってしまうので、スイングをして頭を真っ白にしています」と対策を語った。最後の夏は自分にも、相手にも負けずに頂点をつかむ。
◆蝦名りく(えびな・りく)2007年(平19)10月5日生まれ、青森県青森市出身。小4時に奥内ブルーベイズで野球を始め、青森北中では軟式野球部に所属。青森北では1年夏に初のベンチ入り。172センチ、72キロ。50メートル走6秒8。好きな有名人は森七菜。趣味はドラマ鑑賞。