ブルペンで投球練習をする雨木

<新潟大会・注目選手(7)>

第107回全国高校野球選手権新潟大会が9日、開幕する。65チーム(76校)が甲子園出場切符を争う。日刊スポーツでは大会の注目選手を紹介する。最終回の第7回は中越の左腕エース雨木天空(そら、3年)。7年ぶり12度目の甲子園にチームをけん引する。10年ぶりに優勝した春季県大会は5試合中4試合で先発し、3試合で完投と鉄腕ぶりを発揮した。つけた自信を武器に、最後の夏もマウンドを仕切る。

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3人並んで投げ込める中越のブルペン。雨木の隣に本格派右腕の石山愛輝(3年)、その奥には技巧派左腕の遠藤快斗(同)が並び、競い合うように腕を振る。「徐々に仕上げて行く」。同期の投球練習に刺激を受けながらも、雨木は淡々と調整に励む。

夏を前に「スタミナには自信がある」と言う。普段の睡眠時間は8時間以上確保して体調を管理。トレーナーのケアに酸素カプセルと、時間があるときは体力の回復に努めている。それを示すように春季県大会は絶対的な存在感を漂わせた。

3完投を含む32回2/3を投げて防御率1・10。続く北信越大会も降雨継続試合になった1回戦で敦賀気比(福井)に5安打3失点で7-3の完投勝ち。本田仁哉監督(48)は「昨秋は石山、今春は雨木を軸に据えるつもりだった」と言う。その上で「想像以上の内容」とうれしい誤算でもあった。

その分、夏にかかる期待も大きい。雨木は「打者の様子を見て配球をしないと打たれる。春の反省を生かす」。以前は三振を奪いにいった。今は「まずアウトを取る」。力で抑えようとすると連打を許した。直球にスライダー、チェンジアップ。表情を変えずに厳しいコースを突く。春に学んだ打ち取るための術を、夏は軸にする。

伝統校中越の背番号「1」を背負う。「自分が見てきた先輩たちは偉大だった。でも、重みを感じすぎずに全力を尽くす」。マイペースで快投を続ける。(おわり)【斎藤慎一郎】

◆雨木天空(あまき・そら)2007年(平19)7月17日生まれ、新潟市出身。知名小(鹿児島)1年の時に野球を始める。巻東中では新潟北シニアに所属し、3年の時に日本選手権に出場。中越では1年秋からベンチ入り。好きなプロ野球選手は高橋遥人。178センチ、80キロ。左投げ左打ち。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】中越・雨木天空、春は4試合先発し3完投 自慢のスタミナと投球術で聖地目指す