【高校野球】5回ノーノー!二松学舎大付・川島連十「まだ課題ある」理想型は父の元同僚/東東京
<高校野球東東京大会:二松学舎大付13-0両国>◇5日◇1回戦◇神宮
第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕・甲子園)の出場を懸けた地方大会は5日、新たに東西東京、大阪、京都など全国各地で新たに開幕。東東京では二松学舎大付(東東京)が両国を13-0で下し、春のセンバツに続いて開幕試合を白星で飾った。オリックス1軍打撃コーチ・川島慶三氏(41)の次男の連十(れんと)投手(1年)が公式戦デビュー。参考記録ながら5回無安打無失点で快勝に導いた。京都では、京都先端科学大付(旧校名・京都商、京都学園)が古豪復活へ白星発進。沖縄では8強が出そろった。
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かつて父が本拠地とした神宮球場のマウンドで、背番号18が輝いた。二松学舎大付に頼もしい1年生左腕が現れた。公式戦デビューの川島が、参考記録ながら5回ノーヒットノーランを達成。市原勝人監督(60)から先発を言い渡されたのは試合の1時間ほど前だったが、開幕戦という重圧のかかるマウンドで強気な攻めを貫いた。直球を主体に82球で両国打線をねじ伏せ「先輩たちの後押しがあって、落ち着いて投げることができました」と笑顔で振り返った。
父は日本ハムを振り出しに、ヤクルト、ソフトバンクで長らく活躍した慶三氏だ。初めてピンチを背負った5回も、ひるまず向かっていった。四球と犠打などで2死三塁。ベンチからの伝令でスイッチを入れた。「監督さんから『絶対ノーノーでいけ』と言われて。最後の打者でようやく意識しました」。呼吸を整え、最後の打者を右飛に仕留めた。「将来を背負う選手」と送り出した指揮官の期待に見事に応えた。
憧れの父を追いかけて小学1年生で野球を始めたが、父のように野手としてのプレーは目指さなかった。むしろ、現役時代に左投手にめっぽう強く「左キラー」と称された父を、いつか抑えたい-。そんな気持ちを背負って技術を磨いてきた。中学時代に140キロまで到達したという自慢の直球を武器に、カーブ、チェンジアップ、フォークと場面によって変化球を投げ分け打者を手玉に取る。ソフトバンクなどで活躍した和田毅氏のような本格派が理想型だ。
開幕試合を、圧倒的な投球で白星に導いたが「自分の中では、まだまだ課題がある。強いボールをコースに投げたい」と謙虚な姿勢を忘れない。2回戦は11日、足立学園と対戦する。与えられた役割をしっかり全うし、初めての夏を存分に味わう。【平山連】
◆川島連十(かわしま・れんと)2009年(平21)9月28日、東京・国立市生まれ。国立ヤングスワローズや多摩シニアでプレーし、中学時代にはシニア日本代表として全米選手権に出場した。二松学舎大付では1年夏からベンチ入り。目標の選手は元ソフトバンク和田毅。好きな食べ物はすし。趣味はサッカーで、好きなチームはバルセロナ。176センチ、70キロ。左投げ左打ち。