青鳥特別支援で女子部員の小山紫織

単独2年目で悲願の「夏1勝」を目指す青鳥特別支援(西東京)に今春、初の女子部員が加わった。小山紫織外野手(1年)は野球未経験も青天井の向上心で男子部員たちに刺激を与える「黄金ルーキー」。日本高校野球連盟の規定で女子の選手登録はできないが、「もっと速い球を投げたり、打てるようになりたい」と夢に向かって腕を磨く。

練習前のキャッチボール。小山は左足をしっかりと上げて右足でバランスを保った後、真上から右腕を振り下ろす。ボールはノーバウンドで相手のグラブに吸い込まれた。入部2カ月とは思えない美しいフォーム。「最初は横から投げていたけど、先生に言われて上から投げるようにした。もっとコントロールをできるようになりたい」。

これまでは野球以前に、スポーツと無縁だったという。「(軽度の知的障がいの影響で)小学校の時からちょっと抜けているところがあった。勉強もやって来なかった」。中学までは不登校だった。自宅でスマートフォンゲームに明け暮れる日々を過ごしていた。

転機は中学3年時の昨年。進学予定だった青鳥校で立ち上がったベースボール部のドキュメンタリー番組を父親が見せてくれた。昨夏、特別支援学校として高校野球史上初の単独出場したナインの姿に「諦めずに戦っていたところがすごい」と胸を打たれた。

久保田浩司監督(59)との面談で何度も「ここでやらせてください」と頼み込み、初の女子部員として認められた。お気に入りのメニューは打撃練習。「カチーンっていう音が鳴った時が一番うれしい」。練習試合で代打出場ができるまでに上達したという。

6日の上水との初戦(小野路GIONベースボールパーク)では記録員としてベンチ入りする。野球のスコアの勉強も始めており、「ヒットを打ったり、得点を入れてほしいな」と悲願の「夏1勝」を目指す仲間にも期待を寄せる。夢への1歩目は歴史的勝利にしたい。【泉光太郎】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【高校野球】6日初戦、青鳥特別支援初の女子選手・小山紫織「得点を!」記録員で選手にゲキ/西東京