広島対ヤクルト ポーズを決めるプロ初勝利の中村優(撮影・加藤孝規)

<広島0-5ヤクルト>◇3日◇マツダスタジアム

ヤクルト先発のドラフト1位・中村優斗投手(22=愛知工大)が5回7安打無失点でプロ初勝利を挙げた。5回2死満塁、肩で呼吸しながら、サインにうなずいた。127キロスライダーで広島ファビアンを捕邪飛。3者凡退は1度もなくても粘った。「プロ野球の夢は高校ではなかった。今は1勝して非現実的というか…。でもまだまだ勝ちたい」とかみしめた。

1年前の春が自分を変えた。「ターニングポイントは、あの時ですね」。大学生ながら、侍ジャパン強化試合の代表に選出され、オリックス山下舜平大のキャッチボールに衝撃を受けた。伸び、軌道、音。すべてが別次元。「どんな感覚か」「どんなトレーニングをしてるのか」。気付けば、ベンチでもグラウンドでも湧き出る疑問をぶつけた。

ボックスジャンプなど瞬発力を鍛えるメニューを導入。当時157キロだった最速は160キロに到達した。プロ入り後、下半身コンディション不良で思うように投げられない時期も、栄養学やトレーニングに関する本を読みあさった。

野球は高校までのつもりだった。進路希望は公務員。高3で145キロを出して野球を継続、今にたどり着いた。1度登録抹消し、次回登板に備える。苦しむ燕に一筋の光が差し込んだ。【上田悠太】

◆中村優斗(なかむら・ゆうと)2003年(平15)2月8日、長崎県生まれ。諫早農では甲子園出場なし。卒業後は愛知工大に進学。リーグ戦では1年春からベンチ入りし、通算51試合登板で16勝18敗。3年春から3季連続で奪三振王。4年春に大学生ながら侍ジャパンに選出。24年ドラフト1位でヤクルト入団。25年6月22日オリックス戦でプロ初登板。176センチ、86キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1600万円。

▽ヤクルト高津監督(プロ初勝利の中村優に)「5回までだったけど、よく投げた。しっかりゲームをつくり、変化球も腕を振ってしっかり投げられていた。勝ちを導き、立派だなと思って見ていました」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ヤクルト】ドラ1中村優斗、野球は高校までのつもりが「転機は…」5回7安打無失点でプロ初勝利