阪神対巨人 8回表巨人2死二塁、泉口を左飛に打ち取り、雄たけびを上げる大竹(撮影・前田充)

<阪神1-0巨人>◇2日◇甲子園

左腕の雄たけびが劇的勝利を呼び込んだ。

8回2死二塁。阪神先発の大竹耕太郎投手(30)は巨人泉口を左飛に仕留めると、あらん限りの力を込め、ほえた。 「自分の気合を野手の皆さんに伝えるというか、打撃陣を鼓舞するという気持ちで表現しました」

直後の8回裏に味方打線が決勝点をゲット。自身4連勝で今季4勝目を挙げ、試合後は笑みがはじけた。

省エネ投球で巨人打線を封じた。8回を89球で7安打無失点。無四死球でテンポ良く、奪三振ゼロで打たせて取った。1イニングの最多球数は初回の14球。最少は4回の8球。「ボールと精度は全然だった。その中でどうやっていくか(捕手の)坂本さんと一緒に臨機応変に対応できた」。登板3日前の6月29日が誕生日。30歳初先発を白星で飾った。

勉強の経験が好投に生きている。出身の済々黌(熊本)は例年300人近く国公立大の合格者を出している公立進学校。学生時代は野球の能力だけでなく学力も秀でていた。そんな大竹の勉強時のこだわり。それは自室を使わないことだった。「自分の部屋で無音で机に向かうというのが逆に集中できなかった」。家族がいるリビングでテレビをつけたまますることが多かった。

自分で作り上げた「やりやすいスタイル」は多方面で効果をもたらした。大人数で受験する模試や入試でも集中して落ち着いて問題を解けた。勉強はもちろん、野球にも「論理立てて考える思考や集中力は生きている」。この日の舞台は4万2637人が来場した超満員の甲子園。マウンドに上がっている間は巨人ファンの声援など多くの音が生じるが、無音ではなく“有音”の環境でこそ集中力を研ぎ澄ませた。

チームは4試合の合計がわずか1失点での4連勝。今季18度目の完封勝利を決めた。藤川監督は大竹について「もう言うことがないと言いますか。相手の打線が積極的にきているところを逆に利用するような形で球数も抑えていいピッチングだった」と絶賛。30代として初めての登板で最高のスタートを切った。【塚本光】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】大竹耕太郎8回無失点「打撃陣を鼓舞」雄たけびで先制呼ぶ 勉強で身につけた集中力とは…