【阪神】森下翔太「最初は触れられてなかった」ミット“空振り”させ「神の手」で決勝点もぎ取る
<阪神1-0巨人>◇2日◇甲子園
衝撃の結末や! 阪神が「神タッチ」を決め、今季4度目の4連勝で首位を堅守した。甲子園での「伝統の一戦」。両チーム無得点で迎えた8回2死一、二塁、二塁走者の森下翔太外野手(24)が技ありのホームタッチを成功させた。大山悠輔内野手(30)の遊撃正面へのゴロがイレギュラーして内野安打となると、ボールが弾かれる間に一気にホームを狙った。最後は捕手甲斐のタッチを懸命にかいくぐり、決勝点をもぎ取った。チームは2カード連続の勝ち越し。宿敵巨人とのゲーム差を5・5に広げた。
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これぞ執念だ。まさに神の手。森下は野球人の本能で五角形のホームベースを求めた。欲しかった最初の1点は、劇的な走塁でもたらされた。「もう一瞬で…必死でした。最初は触れられていなかったので、何とかあきらめずにもう1回触りにいきました。なんとかホームベースに触りたい、というだけでした」。背番号1は興奮していた。
0-0の8回2死一、二塁。大山の遊撃への当たりがイレギュラー。泉口の体に当たって二塁方向へ。二塁走者の森下は一気に本塁突入を決断。タイミングは完全にアウトだった。
だが、粘りに粘った。甲斐のタッチを右に大きく回り込んで回避。左手は届かなかったが大きくオーバーした位置から再び、はいつくばるようにベースに突進。ミットが伸びてきた。タッチされる寸前で、左手を素早く引っ込めた。「とっさの判断でした」。ミットを“空振り”させると、そのまま体をねじって一塁方向から右腕をホームベースに伸ばした。今度は触れた。
1度はアウトの判定が下ったが、藤川監督がリクエスト。長いリプレー検証の果てにセーフに覆った。森下は興奮を抑えられず、ほえまくった。大竹は顔をくしゃくしゃにし、ベンチ裏の代打陣らも含め、阪神ベンチは狂喜乱舞した。
「自分はノーヒットで(8回は)四球を選んで。輝さんがつないでくれたチャンスだったので、モノにできて良かった。もう1点ゲームだと思って。後半出てくるジャイアンツの投手はすごくいい投手ばかり。なかなか点が取れないと思うので、本当に良かった」
大きな1点、大きな1勝だ。大竹は完封ペースで8回まで来ていたが、巨人井上を打てなかった。最後に報いることができた。
今季4度目の4連勝。2位広島と4ゲーム差は変わらなかったが、連破した巨人には5・5差と突き放した。打点トップを走る森下はお立ち台で約束した。「本当にピッチャー陣に助けられている。明日は野手で勝ちたいと思います」。走塁で見せたバットマンは大声で誓った。【柏原誠】
▽阪神田中内野守備走塁コーチ(三塁ベースコーチで腕を回し、森下の決勝走塁を呼び込み)「森下がよく走ってくれました」
○…BS朝日の中継で解説を務めた阪神岡田彰布オーナー付顧問(67)が、8回の判定にまつわる審判団の動きに苦言を呈した。阪神森下の本塁アウトの判定がセーフに覆った後、巨人阿部監督が抗議し退場となった。一連の動きに対し「審判もマイクで説明すればいいのにね。説明しとったら監督も退場しとらんよ。こういう時は説明せなアカンわ。アウト、セーフの局面じゃないからね」と意見。場内への詳細な説明があれば、状況が変わっていた可能性があると強調した。