【とっておきメモ】苦労人DeNA井上絢登が大仕事 独立時代はまかないと温泉目的ホテルバイト
<DeNA4-3中日>◇2日◇横浜
DeNA井上絢登外野手(25)がプロ初本塁打を豪快なグランドスラムで決めた。この日、1軍昇格して即「6番左翼」でスタメンに名を連ねると、1点を追う1回2死満塁のチャンスで今季初打席が巡ってきた。中日高橋宏の3球目。低めスプリットをすくい上げ、右中間席への逆転の満塁本塁打を放った。
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苦労人・井上が大仕事をやってのけた。福岡大で指名漏れし、四国IL徳島を経て昨季に入団。当時は経済的にも苦しく、節約生活を強いられた。
生活費を工面するのもやっとで、自炊は1日の食費を1000円以内に設定。「大したものじゃないですけど…照り焼きチキンを作ってみたり、同僚とみんなで鍋を囲んで安上がりにしたり」。洋服はほぼ買えず、水道代節約のために洗濯ものはまとめて洗った。
同僚たちとともにシーズンオフは「鳴門グランドホテル海月」のバイキング会場でアルバイト。選んだ理由は「まかないのお金がかからなかったので。温泉も入れましたし」とフル活用した。全てはプロの舞台でで輝くためだった。
プロ入り後には「洋服をやっと買えました。親や弟、妹にも洋服のいいやつを買いました」と家族孝行し、この日の1号記念球は「親に送ります」と明かした。苦労を間近で見てきた家族が、誰よりも喜んでいることだろう。【DeNA担当=小早川宗一郎】