対DeNAバウアー(2025年6月28日撮影)

リーグ再開の巨人戦を3連敗したDeNA。昨季の日本一チームが、借金2といまひとつ波に乗れないでいる。日刊スポーツ客員評論家の小谷正勝氏(80)が投手陣を分析。巻き返しへの道を探った。

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DeNAは先発の軸を担う一角、バウアーが2軍落ちした。ケイと東は防御率1点台だが、ケイは5勝5敗で、東は6勝4敗。援護に恵まれない面もあり、大きな貯金を運べていない。酷だが左の2枚が今よりもっと調子を上げて、小差をしのぎ勝つ試合が増えてこないと、ここから先は苦しくなる。

東は開幕当時、一からやり直した方がいいくらい悪い状態が続いた。だが、投げるたびに感覚が戻りつつある。詰めの作業を怠らず、昨季のように貯金を荒稼ぎしたい。

右打者の両サイドに、制球とキレを両立させて勝負できるタイプ。いい時は内角と外角、半々で投げていたが、今季は外角のコントロール、特にチェンジアップが悪い。誘い出せず、内角を打たれている。

目標に早く投げようとする意識が、首を早く正対させてしまう。伴って体のねじれがなくなり、チェンジアップが置きにいったようになってしまう。投げる道中、頭を左腰の上に置いて粘る意識を持てば解消していくだろう。勝負球の感覚を取り戻すのが第一だ。

ケイは、自分のタイミングでしかピッチングできない。交流戦のソフトバンク戦では、日本では常識外の左打者を並べられて崩れた。小久保監督にやられた格好で、恐らく各チームは左を並べてくるだろう。

右打者の懐深くに、直球とカットボールを制球よく投げ込む。しかし左打者に対しては、追い込んでからも軸となる2球種を外角にしか投げない。相手は「追い込まれても内角はない」と分かっているので踏み込んで、レフト方向に狙い打ちする。

あれだけ左を並べられる前に、コーチ陣は感じなくてはいけない。打開するには、ブルペンでただ150キロ前後のボールを投げ込むのではなく、暇さえあれば左の内角に投げるよう練習するべきだ。

バウアーはタイミングを考えていろいろトライしている。しかし、ワインドアップの時にクイックで投じることで、リリースポイントを狂わせている。サイ・ヤング賞の面影はなく、抹消は妥当。この間にメンテナンスし、元に戻すべきとだ思う。

フルカウントから、インローに素晴らしいボールを投げたかと思えば、簡単に2ボールを作り、カウントを不利にしている。要は日本の野球をなめている。外国人選手は、話せば分かるケースがほとんど。首脳陣のコミュニケーションが鍵を握る。

ほか先発陣も付記する。ジャクソンは頭がいい。来日当初は直球でしかストライクが取れなかったが、最近は変化球主体になっている。石田裕は、打順が一回りしたら追い込んでストライクゾーンで勝負するのは考えた方がいい。追い込んでから、145キロ前後の球威で枠内の勝負をしても打たれる。同じことを繰り返している。見逃しではなく、空振り三振を狙うべきだ。

ブルペンにも目を向ける。まずは昨季に抑えを務めた森原を早く使えるようにしたい。宮城は、カウント球の変化球を身につけたい。中川は、いいピッチングをしてもまだ不安定さを感じる。伊勢、入江は今の状態をキープすること。

日々の勝負と並行して、若手のスタートピッチャーを作る事も非常に大事だ。まだ世に出ていないが、吉野光樹という3年目の投手がいる。コントロールに疑問符はつくものの、高めの球に力がある。一方で、打者のベルトラインから下には、力の抜けた「ボケ球」が多い。長所を生かし、高めの強い球で打ち取るスタイルを確立したい。

最後に。DeNAは将来、どのようなピッチングスタッフを作りたいのか。外国人への依存度が高い陣容からはビジョンが見えてこない。今は行き当たりばったりの感じがする。日々の勝負と並行して近未来にも目を向けないと、安定して上位に座れないだろう。(日刊スポーツ客員評論家)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 小谷正勝氏が低迷DeNA投手陣を分析 日本野球なめている外国人…首脳陣との会話が鍵