広島MF中村草太(2025年6月22日撮影)

日本代表の森保一監督(56)が29日の東京V-川崎F戦(味スタ)をもって、国内組中心で臨む東アジアE-1選手権(7月8日開幕、韓国)に向けたJ1視察を終えた。6月のW杯アジア最終予選には18歳のMF佐藤龍之介(岡山)や21歳のMF俵積田晃太(東京)ら7人の新戦力を招集したが、今回はDF鈴木淳之介(湘南)の選外も判明。さらに多くのニューカマーが予想される。メンバー発表を前に、森保監督の言葉をひもときながら注目のJ1選手をオススメしたい。

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最終視察を終えた森保監督の言葉には、充実感がにじんだ。「E-1があるのでJリーグを深掘りしましたけど、日本にはたくさんいい選手がいる。コーチ陣と毎節終了後にミーティングしていますけど、絞り切るのが難しいですね」と。

直近で視察したJ1は7カード。メンバー選考に関し「ベストの選手を選ぶことを念頭に置きながら、少し経験値が足らなかったとしても、これからJリーグを引っ張ってくれる選手を選びたい。要所にベテランを置きたい」と明かした。

6月の活動は三笘薫らコアメンバーを外し、予選突破を決めた3月から14選手を入れ替えた。うち7人が初招集でJ1から鈴木淳、熊坂、俵積田、最年少18歳佐藤の4人が選出された。その熊坂に加え、鈴木淳も前日に負傷したこともあって、森保監督は「淳之介は選外に」と明らかにした。また、クラブW杯を戦った浦和勢は疲労を考慮し招集を見送ることも公表した。

フレッシュな新戦力が顔をそろえる。まずは広島の3選手を推したい。森保監督が視察した22日の横浜FC戦、MF中村草太は左ウイングバックで活躍した。縦への鋭いドリブルで相手を翻弄(ほんろう)しただけでなく、前半40分には右のDFライン背後へ正確な浮き球パスを送ってアシスト。技術と判断が光った。長期離脱から復帰した19歳MF中島洋太朗は前線を操る司令塔。3バックの右に入る中野就斗は、どの中央もできる幅広さが魅力だ。

森保監督は視察中、中村について「自分のスピードを生かしながら駆け引きと決定力がある。その上で守備のタスクもしっかりこなせる」。また中島には「なかなか(人を)見られて出せるパスではない。非凡なセンス」。ただ負傷明けとあって、今回は難しいか。

日本代表の細谷真大がサブに回るほど選手層が厚い柏からは、MF久保藤次郎を勧めたい。右ウイングバックから得点機を次々と生み出す。167センチと小柄ながら牛若丸のような軽快な動きで相手を手玉に取る。森保監督が視察した28日の清水戦では先制点も決めてみせた。相手の清水にも「球際の男」として評判を高めるMF宇野禅斗。青森山田では松木玖生の同期で高校3冠の立役者、プロ4年目の21歳は成長していた。

3位の京都にはDF福田心之助、MF川崎颯太、FW原大智もいる。右サイドバックで推進力ある福田、ボランチで全体を俯瞰(ふかん)しながらプレーする川崎、そして原は191センチの長身が武器。日本代表で試してみたい個性が並ぶ。

町田FW相馬勇紀はJ1屈指の突破力で6得点6アシストと「戦術・相馬」を体現する。底知れぬポテンシャルを持つのは東京VのDF綱島悠斗。3バック、ボランチで高い対人能力に加え左右の長距離キックも正確。チームの低迷もあって目立っていないが、代表でもやれる逸材。福岡DF安藤智哉も同様だ。首位鹿島のGK早川友基はまさしくチームの守護神というべき活躍。川崎Fの三浦颯太は代表招集歴があり、いつ呼ばれてもおかしくない。

真の代表への登竜門となる東アジアの戦いへ、Jリーガーたちのコンテストは終わった。森保“審査委員長”は誰を選ぶのか。強化とともに来夏のW杯北中米大会へ、新たな選手の未来が動き出す。【佐藤隆志】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本代表】森保一監督に記者がJ1の「いい選手」を推薦 広島中村草太、柏久保藤次郎ら