長嶋茂雄さんから託された最後の願い胸に、王貞治氏が「球心会」設立「今こそ一致結束すべき時」
「野球界がひとつになり、これから更に野球人気が高まることを期待しています」。今月3日に89歳で亡くなった“ミスタープロ野球”長嶋茂雄巨人終身名誉監督が、生前に残していた手紙が26日、都内で開かれた「球心会」設立会見で公開された。野球界の未来を願う長嶋氏の思いを、盟友で同会の代表を務めるソフトバンク王貞治球団会長（85）が力強く受け止め、行動に移す決意を語った。
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会見も中盤にさしかかった頃、球心会副代表で日本ハムCBOの栗山英樹氏（64）が、一通の手紙を代読し始めた。長嶋氏から王代表へあてたものだった。そこには、亡くなる直前まで野球界を案じ、王代表の新たな挑戦に協力を申し出る、温かな言葉がつづられていた。
「王貞治様
王さん、野球界の更なる発展を目指した「球心会」の結成、おめでとうございます。
アマチュア、プロの垣根を越え、王さん自らグラウンドに飛び出されると聞き、私にできることがあれば大いに協力したいと考えています。
野球界がひとつになり、これから更に野球人気が高まることを期待しています。
令7年5月吉日 長嶋茂雄」
（原文まま）
王代表は、長嶋氏からの手紙を託され「王貞治は野球界のためにやるべきことがある。長嶋さんが亡くなった今、改めて心に誓いました」と決意表明した。「長嶋さんが同じ思いを持っていてくれたことがうれしい。国民的ヒーローが次々と誕生するような環境と基盤をつくらなければならない。今こそ、さまざまな組織の垣根を越えて一致結束すべき時なのです」と語気を強めた。
「球心会」は今後100年を見据えた野球振興を目的に、プロアマの枠を超えた連携と情報発信を進めていく組織。王会長が数年前から構想を温め、一個人として各団体に協力を呼びかけた。具体的には、幼少期の子どもたちが野球と触れ合える機会の創出、日本シリーズやオールスターなどの大規模大会に合わせたイベント開催、保護者向けの情報提供など、幅広い取り組みを展開する。
「とにかく、やらせてください」。王代表は真剣な表情で言い切った。「お金を集めて、子どもたちが野球をやれる野球場をつくりたい。日本は土地が少ないけど、工夫して何とか前に進めていきます。口だけで終わらせず、しっかり形にします」。
「ON」として現役時代から夢と感動を一緒に与えてきた「ミスター」が最後に託した願いを胸に、盟友・王貞治が再び野球界の最前線に立つ。その視線の先には、子どもたちと野球の未来が、しっかりと見据えられている。【鳥谷越直子】
◆球心会 一般財団法人。25年5月23日設立。子どもたちに夢と希望を与える世界的ヒーローが野球界・スポーツ界から生まれ続ける未来をつくる取り組み「BEYOND OH！ PROJECT」を推進する。王貞治代表、栗山英樹副代表、評議員にサッカー元日本代表監督の岡田武史氏、全日本野球協会（BFJ）副会長・専務理事の内藤雅之氏、日本野球機構（NPB）の中村勝彦氏ら。本社は東京・千代田区。