くふうハヤテ対阪神 術後初の先発マウンドで力投する阪神高橋

遥人が後半戦Vけん引の切り札だ! 阪神高橋遥人投手(29)が25日、ウエスタン・リーグのくふうハヤテ戦(ちゅ~る清水)で、実戦復帰後初先発した。故郷静岡で34球を投げ、3回を2安打無失点。昨年11月の「左尺骨短縮術後に対する骨内異物(プレート)除去術」を経た255日ぶりの先発で、完全復調をアピールした。昨年は8月の1軍復帰戦から4連勝、21年も9月に故障から復帰して4勝を挙げた“夏場の勝負どころ請負人”。頼もしくまた1歩階段を上がった。

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敵地の2軍戦にもかかわらず、マウンドに向かう高橋には四方から声援を送られた。「ハルト、頑張れーっ!」。左腕の手術を経て昨年10月13日のCSファイナルDeNA戦(甲子園)以来、255日ぶりの先発。両親も見守った故郷静岡での凱旋(がいせん)登板だった。浴びた期待を力に替え、1軍復帰への階段をまたひとつ上がった。

「楽しむ余裕はなかったかな。いっぱいいっぱいの部分もあった。めちゃくちゃ懐かしいと思ったんですけど、マウンドに上がってからは無我夢中でした」

常葉橘時代にも投げたちゅーる清水で、くふうハヤテ相手に3回を2安打無失点。最速151キロを3度計測した。ただし、奪三振はゼロで本人は満足していなかった。「圧倒はできていない。押せていない感じだった。やっぱり(ボールの)質がまだまだなんだという感じですね」。

だが、昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物(プレート)除去術」を受け、今月18日の2軍広島戦で実戦復帰して1回無失点に抑えたばかり。術後2戦目、初先発にしては上々の34球だ。本人も確かな手応えをつかんでいた。

「感覚的には、この腕で(3回)投げていると思うと、まだ上がっていく感じはする。『もうちょっといけるか』と言われたら、いけるんじゃないかと。去年(復帰間もなく)3イニング投げた時より、今年の方がいい」

昨季は8月11日広島戦で1軍復帰し、そこから4連勝。防御率1・52で、V争い中だった岡田阪神の先発陣を強力援護した。右脇腹の筋挫傷で離脱した21年も復帰は9月だったが、プロ初完封を含む4勝2敗、防御率1・65の好成績で矢野阪神のV争いを強力援護。これまで何度も夏場で強さを発揮し、シーズン終盤の救世主となってきた男だ。

今後は状態を見ながら、イニング数を増やしていくとみられる。オールスター明けにも1軍復帰できれば、強力な投手陣にさらに頼もしい1枚が加わる。平田2軍監督は「悪くはない。(状態が)普通でも、このぐらい遥人はできるということやな。これからもっと段階を上げていくところ」と目を細めた。V奪回への勝負どころ、得意の夏場での1軍復帰が、確実に近づいている。【波部俊之介】

■高橋遥人の苦難の道のり

◆度重なる故障 亜大から17年ドラフト2位で入団。4月11日の広島戦で村山実以来59年ぶりの新人初登板初先発勝利を飾った。だが6月に左肩のコンディション不良を発症し2勝に終わった。19年は3勝9敗、20年は左肩の不調で開幕から出遅れ5勝4敗だった。

◆再三の手術 21年は2月のキャンプで右脇腹の筋挫傷を発症。9月に復帰してプロ初完封を含む4勝を挙げたが、11月に左肘をクリーニング手術。22年4月には左肘トミー・ジョン手術を受けた。23年6月には「左尺骨短縮術」および「左肩関節鏡視下クリーニング術」を受け、2年連続実戦登板0に終わった。

◆育成契約 23年11月に育成選手として再契約。背番号129。同月に本格投球を再開。24年の7月20日に支配下復帰し、背番号は29に戻った。

◆1軍復帰 24年8月11日広島戦で1009日ぶりに1軍登板。5回4安打無失点で、1025日ぶりの白星をつかんだ。同戦から無傷の4連勝を飾るなど4勝1敗、防御率1・52。

◆プレート除去 24年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を受けた。過去の手術の過程で左腕に埋め込まれていたプレートを除去した。

◆実戦復帰 25年6月18日の2軍広島戦で実戦復帰。最速151キロをマーク。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】「無我夢中でした」高橋遥人が地元静岡で255日ぶりの先発登板 状態面には伸びしろも