【近本光司コラム】「食事」こだわらない ストレスためず「うまい!」と感じること大事に
<近本光司コラム:研鑽>
阪神近本光司外野手(30)があらゆるテーマで展開する独占コラム「研鑽」(けんさん)。今回は「食」を語った。食事や栄養に関してもストイックなイメージだが、年齢と経験を重ねて考え方が変化。ストレスをためないことを最優先に「楽しむ」気持ちを大事にしている。効果はてきめんで、活躍中の今季はコンディションも良好だ。リーグ戦は27日のヤクルト戦(神宮)から再開。不動の1番でチームの首位快走を引っ張る背番号5は、夏場に向かうハード日程も元気もりもりで乗り切っていく。【聞き手=柏原誠】
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こんにちは、近本です。関西も急に暑くなってきましたね。本格的な夏を前に「食事」についてお話しします。基本的に食べ物にはこだわらないようにしています。栄養管理は考えていますが、こだわってストレスをためてしまうのが一番ダメだと思っています。
考え直すきっかけは新型コロナウイルスでした。コロナ前の19年はプロ1年目。普通に外食したり、お酒を飲んだりしていました。20年に外食ができなくなると家で毎日食事して、決まった時間に寝て、コンディショニングにあてられる時間が増えました。体調を整えやすくなって思ったのは、成績を上げる人が増えるぞ、打率4割の選手もひょっとしたら…ということ。でも実際は多くの選手が成績を落としました。この時、原因はストレスだな、と思いました。どんなにいい栄養を摂っても、ストレスには勝てない。ストレスがパフォーマンスに影響するんだと感じました。
それまでストレスに感じながらも続けていた決めごとを、1回やめてみました。もともとの栄養への意識がベースにあるから、いきなり体に悪いものを食べるわけではない。食べてはいけないものを減らすという感じでしょうか。絶対に避けるものはとくにないです。唐揚げも食べますけど、ずっと食べるわけでもないので問題なし。唐揚げはどんどん冷めていくから、作った直後が一番おいしいんですよね。とにかく「うまい!」と感じることを大事にして、食事を楽しむようにしています。
試合前後の食事も、球場や場所によって提供されるものが違います。そこでこだわりすぎると「ない」と言われた時にストレスになる。選択肢がある場合は、自分の状態に合わせます。うどんが食べたいと思えば素直にうどんにしたり。野菜はサラダで必要な栄養素を摂ろうとすると相当な量になるので、根菜類の入った煮物とかを摂るようにしています。夏バテ防止で食べるものを変えたりはしませんが、旬の野菜をよく食べます。トマト、ナス、オクラ、山芋とか。
栄養が足りない分はサプリメントで補います。サプリを摂り始めたのは3年前くらい。効果はすごく実感しています。それまでは脳の疲れというか、頭にモヤがかかったような状態がありました。でも抗酸化作用のある成分のサプリを摂り始めて、そういう疲労感がなくなりました。
それと1日1杯のコーヒーは楽しみにしています。カフェには豆から選べるお店を選びますし、自分でも煎(い)れます。飲むだけではなくてトータルで楽しむ。コーヒーに合わせて、大好きなチョコレートやクッキー、ケーキを食べることもあります。甘党なので。偏ってたくさん食べることはないですね。
高校野球の季節ですね。夏を乗り切るためには、白米だけではなく5大栄養素をバランスよくとること。それと高校生は脂質が大事です。ある程度自分のことを理解することが大事。そういう意識でいると自分なりの正解が見えてきます。自分を知れば、夏を乗り越えられるかなと思います。頑張ってほしいです。
27日からセ・リーグが再開します。今70試合ですが、めちゃくちゃ疲れているわけではなくて。シーズン半分も終わった実感がない。まだ前半始まったばかりという感覚なんですよね。もちろん疲れてはいるんですけど、なぜかまだ前半戦という感じがあって、いつ終わるんだろうって(笑い)。もちろん、コンディションがいいのはすごくいいこと。残りも元気に乗り切れればいいなと思っています。(阪神タイガース外野手)
▼この日の近本 甲子園で行われた全体練習でフルメニューをこなした。3日ぶりの屋外での練習。入念なウオーミングアップに始まり、シートノック、フリー打撃を消化。最後はセンターの位置で長い時間、打球を追いかけた。試合のない4日間は家族との時間を長く過ごし、リフレッシュ期間としても有効活用。今後の急な気温上昇に備えて、風呂やサウナなども利用して体調管理している。