大谷翔平、浮き上がる新球&5打席「元の状態以上」の二刀流へ明確な意図/Nobu’s Eye
<ドジャース13-7ナショナルズ>◇22日(日本時間23日)◇ドジャースタジアム
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)22日(日本時間23日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(30)が“発展途上”の二刀流でチームの大勝に貢献した。
投手では以前と変化量が異なるカットボールを左バッターに試し、ナイター明けのデーゲームで負担もある中、打者ではフル出場した。メジャー1年目から二刀流を取材し続ける斎藤庸裕記者が「Nobu's Eye」で、大谷の意図に迫った。
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大谷が左打者に対し、新たな変化を見せたカットボールを投じた。MLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」では全18球のうち3球だが、捕手ラッシングによると4番ローへの7球目はスライダー。この証言を元に、カットボールは3番ガルシアへ投じた2球で、Induced Vertical Break(インデュースド・ヴァーティカル・ブレイク=IVB)の平均は10・5。手術前、23年の4・5より数値が上がっていた。
一般的にボールの変化は重力にも左右されるが、IVBは重力を差し引いたボールの変化量を示し、高い数字ほどライジングやホップする軌道となる。つまり、打者にとっては以前よりも浮き上がって見えるカットボールと言える。前回はツーシームを8球投じたが、この日はゼロ。逆に前回は配球になかったカットボールを左打者に使った。たとえ1イニング、18球でも明確な意図が読み取れる。
復帰登板を飾った5日前は暴投もあり、最速100・2マイル(約161キロ)で思った以上に出力が上がった。今回は抑えめに、制球力も改善された。「思ってたよりも早めに復帰はできているので、今日また投げて、明日以降の反応を見ながら徐々に徐々にイニングも増やしていければ、元の状態以上に戻れるという、そういう自信が出てきているかなと思う」。確実に、手応えを感じつつある。
1回、先頭打者エイブラムスを一ゴロに仕留め、前回は怠ったベースカバーもきっちりこなした。打者ではこの日、大差で途中交代も考えられる展開だったが、全5打席でフル出場した。ナイター明けのデーゲームで負担がかかる中、いかに効率よく投打のエネルギーを使っていくか。二刀流が本来のリズムとはいえ、ブランクは約1年10カ月ある。“リハビリ段階”のプレーが続くが、常勝軍団とともに勝ちながら進められる。それが何より、大きな後押しとなるはずだ。