【日本ハム】視界悪かった?北山亘基あわや大記録、キャップのつば「もうちょっと曲げてたら」新庄監督
<日本生命セ・パ交流戦:巨人1-4日本ハム>◇19日◇東京ドーム
あと2人-。日本ハム北山亘基投手(26)が「日本生命セ・パ交流戦」巨人戦の9回1死でソロ本塁打を浴び、惜しくもノーヒットノーランを逃した。ドラフト8位入団で、新庄剛志監督(53)が就任した22年に新人ながら開幕投手を務めた現体制の象徴的投手。快記録こそ逃したが、昨季セ・リーグ覇者を相手に、9回1安打1失点の快投で5勝目を挙げ、成長ぶりと存在感をアピールした。
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指揮官の愛がこもったキャップをかぶった北山が、快記録達成にあと2人まで迫った。9回1死、巨人大城卓に右越えソロを浴びノーヒットノーラン消滅。「すごく悔しいです。達成できなかったというのは、まだ勝負弱いということ」。ベンチ最前列に乗りだし見守っていた新庄監督は「オーマイガッシュ。緊張したぁ。いってほしかったねえ」と自分のことのように悔しがった。
登板前日の練習中、新庄監督は北山のキャップのつばを少し折り曲げた。理由は、平らなつばに「ラッパーみたいで嫌なんだよね」。この日、いつもよりちょっとだけ折り曲げ臨んだ北山は、期待に応え快投。「(曲げてもらい)ストライクゾーンが広く見えたかもしれないです」。指揮官は「曲がってたねえ。でも、もうちょっと曲げてたら多分、ノーヒットノーランいけてた」と上機嫌だ。それを聞いた北山は「次はもうちょっと曲げてみます」と“微調整”を誓った。
大きな記録こそ逃したが、指揮官にも北山にとっても、大きな進化を感じた1勝だった。22年3月25日ソフトバンク戦で、新任の新庄監督はドラフト8位入団の北山を開幕投手に指名した。結果は2回2安打3四球無失点。決して満足いく内容ではなかったが、3年がたち、ノーヒットノーラン目前まで投げられる投手に成長した。指揮官は「俺の見る目があった(笑い)。ファームのブルペンで3球見て『1軍に来なさい』と言った意味が分かってくれるかな。でも成長するスピードが、かなり早いね」と驚いた。
7回2死までは完全投球も新庄監督は「完全じゃなくて良かった。それは何年後かでいいでしょ。1つまた目標ができたんじゃないですか」。北山は「もっと相手を飲み込んでいけるような選手に」。残り2アウトの教訓を、さらなる進化につなげる。【永野高輔】
▼北山が9回1死から大城卓に本塁打を浴びるまで無安打投球を見せた。日本ハムで9回に初安打を許してノーヒットノーランを逃したのは、09年7月10日ロッテ戦で9回2死から打たれた多田野以来、16年ぶり。結局、北山は1安打で1失点の完投勝利。巨人戦でノーヒットノーラン達成は02年8月1日川上(中日)を最後に誕生しておらず、巨人戦で1安打完投勝利も06年6月8日斉藤和(ソフトバンク=完封)以来、19年ぶりだった。