ドジャース対パドレス 二刀流に復帰し先発で登板するドジャース大谷(2025年6月16日撮影)

ドジャース大谷翔平投手が、待望の投打二刀流復帰を果たしました。23年8月23日以来、実に663日ぶりの復帰登板。ア・リーグからナ・リーグ、またエンゼルスからドジャースへと変わり、新章の始まりを強く印象付けるカムバックでした。

ナ・リーグで投打二刀流を演じたことに感無量です。これまでは1918、19年とア・リーグでレッドソックスの元祖二刀流ベーブ・ルースが活躍。その後、2018年に同じア・リーグでエンゼルス大谷が二刀流デビュー。およそ100年ぶりの本格的な二刀流選手として、人々を熱狂させました。

しかしながら、昔は大リーグと言えば、ナ・リーグと言うぐらい人気があり、1876年に最初の大リーグとして創設されて以来、150年の長い歴史と伝統もあります。にもかかわらず、これまで本格的な二刀流プレーヤーは存在しませんでした。そこに前例のないスーパーヒーローが誕生したのです。それも名門ドジャースでの二刀流誕生に、感慨深いものがあります。

かつて、ドジャースにはドン・ドライスデールという強打の大投手がいました。1956年からチーム一筋14年間で通算209勝を挙げ、通算29本塁打もマーク。その殿堂入り投手の存在を忘れさせるぐらい、大谷が強烈な印象を与えました。

さらに常勝軍団ドジャースでの二刀流に、特別な価値があります。14年以来ポストシーズンから遠ざかるエンゼルスとは対照的に、ドジャースは12年連続プレーオフ出場し、そのうち11度も地区優勝。20、24年と2度の世界一に輝いています。

思えば、1918、19年レッドソックス時代のルースがそうでした。当時レッドソックスは黄金期を迎え、12~18年の7年間に4度も世界一。特に、18年のワールドシリーズで29回2/3連続無失点記録を樹立。世界一チームのエース兼強打者として、投打に大車輪の活躍を見せました。

今シーズン大谷は、前年世界一のドジャースで投打二刀流復帰。しかも、今世紀に入ってメジャー初の2年連続世界一を目指すチームでルース以来、実に100年以上の時を経て、投打二刀流に挑戦。それだけ超ハイレベルのパフォーマンスが求められます。

今後の登板予定について、ロバーツ監督は「だいたい週1回。厳密に7日おきに登板するというものではない」と語っていました。おそらく、最初のうちはオープナーとして起用し、7月15日(日本時間16日)のオールスターゲーム以降、先発投手として長いイニングでの活躍が期待されます。

そこで注目したいのが、20~22年途中までエンゼルスで指揮を執り、大谷の二刀流を全面的にサポートしたジョー・マドン監督の起用法です。当時、マドン監督は投打の制限を解除し、フルシーズンでの活躍を後押しするため、なるべく試合がない日の前後に「リアル二刀流」で起用しました。

今季ドジャースの後半戦日程を見ると、毎週木曜日はほとんどゲームがありません。したがって、基本的に毎週水曜日の先発登板が理想的と言えそうです。それによって、大谷は登板翌日に疲労回復に努めることができて、翌日は試合がないのでリリーフ投手陣も積極的に起用できそうです。

興行的にも見逃せません。6月16日の二刀流復帰戦は、月曜日のナイトゲームにもかかわらず、今シーズン13度目のチケット完売となる5万3207人を動員。今季、球団史上初の年間観客動員数400万人突破を目指すチームにとって、平日の観客動員数増加がカギを握るからです。

とにかく、名門ドジャース、及び常勝軍団での二刀流挑戦は歴史や重みが違います。メジャーで人気、実力ともNO・1のドジャースで、どんな二刀流の活躍ぶりを見せるか楽しみです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 「リアル二刀流」大谷翔平の先発は毎週水曜日の登板が理想的 そのメリットとは