【大学選手権】東北福祉大・桜井頼之介「やっと終わった…」仲間の支えで完投、求めていた景色に到達
<全日本大学野球選手権:東北福祉大8-1福井工大>◇決勝◇15日◇神宮
東北福祉大(仙台6大学)が福井工大(北陸)を8-1で破り、7年ぶり4度目の優勝に輝いた。エース桜井頼之介投手(4年=聖カタリナ学園)が準決勝に続き先発し、7安打1失点の完投勝利を飾った。16日に59歳の誕生日を迎える山路哲生監督(58)に「日本一」をプレゼントし、北陸勢初の頂点を狙った福井工大の悲願を阻んだ。
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前夜から降り続いた雨から一転。夕日に照らされたマウンドには、両手を高く突き上げた桜井がいた。「やっと終わった…」。この景色を求めて、ひたすら走り続けてきた。「感情が高ぶりすぎて、よくわからなかったです」。最後は渾身(こんしん)の148キロ直球で空振り三振。ともに走ってきた山路監督に最高の誕生日プレゼントを贈った。
疲労はすでに限界を迎えていた。悪天候の影響で4連戦。桜井は準決勝に続いての先発。この日は得意のスライダーなどを主体に組み立て、疲労を軽減。さらに、仲間の存在がエースを奮い立たせた。「応援の声やベンチでの支えのおかげで9回を投げきることができました」。9回に入り、球数が100球を超えてもなお、150キロを2度計測。最後は気持ちで投げ抜いた。
「ヨリを日本一のピッチャーにしよう」。これがチームの合言葉だった。主戦として投げ始めた3年時から、防御率は1・50以下と抜群の安定感を誇る。「頼之介」に込められた願い通り、チーム全員が桜井を頼りにしていた。
信頼の思いはエースも同じだった。「自分がダメでも後ろに良いピッチャーがいてくれるので、いつも安心して投げられます」。結果を出し続けられる秘密の一因だった。最高の仲間とこの景色をもう1度-。秋の明治神宮大会で、4年間のエンディングに再び「日本一」を描くつもりだ。【木村有優】