ソフトバンク対巨人 4回表巨人2死二塁、有原(左)から同点適時左二塁打を放った坂本(撮影・岩下翔太)

<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク-巨人>◇10日◇みずほペイペイドーム

この男はただものではない。1点を追う4回2死二塁、ソフトバンク有原の内角カットボールを振り抜いた。天性の内角打ちで左翼手の頭上を破った。試合を振り出しに戻す同点適時打。二塁ベースに到達すると両手をポンとたたき、右拳をにぎった。「次につなぐ気持ちで打席に立ちました。タイムリーになってよかったです」。背番号6、坂本勇人が帰ってきた。

代名詞の二塁打が再起への合図だった。現役最多のプロ通算462本目の二塁打で歴代トップの立浪和義まであと25本と迫った。「二塁打はシングルヒットを打って盗塁したのと同じこと。それくらい二塁打はすごく価値がある。打率、本塁打、打点というのはみんな見がちな部分だけど、安打でも二塁打とシングルヒットは全然違うと思っている」とかつて“二塁打の流儀”を熱弁。この日は打点もついて価値は倍増した。

あのミスターが固めたホットコーナーでも輝きを放った。2回に先発の井上が周東への頭部死球で危険球退場。1死満塁から急きょ登板した山田が今宮を三ゴロに打ち取ると、ワンバウンドで打球に小さくジャンプして捕球し、素早く二塁に転送。三-二-一の併殺を完成させた。冷静な判断と軽快なグラブさばきを披露。涼しい顔で火消しした。5回にも周東の三塁線を襲う痛烈な当たりをダイビングキャッチして、相手のチャンスの芽をつんだ。

今季開幕から苦しんだ。打撃不振で4月15日に出場選手登録から抹消。岡本の離脱により5月7日に緊急昇格したが、同12日に再び2軍再調整。ファームでは打撃フォームを見つめなおして、試行錯誤を繰り返した。6日イースタン・リーグのオイシックス戦で待望の“1号”をマークした。

偉大な先陣から受け継いできた重責を背負う。阿部監督は「何が変わったとかじゃなくて、チームにとっても、いる、いないでやっぱり、違う。(若いチームは)正直、見てて浮足立っちゃっているなというところも見えていた。そういう意味でも(坂本の存在は)チームにとっても大きなことだと思う」と信頼と期待を寄せた。背番号6が背負っているものはとてつもなく大きい。【為田聡史】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【巨人】帰ってきた坂本勇人「つなぐ気持ちで」代名詞の二塁打で歴代トップ立浪和義にあと25本