長嶋茂雄氏の自宅に弔問に訪れ、取材対応を行う栗山英樹氏(撮影・山本朝陽)

日本ハム栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO、64)が6日、肺炎のため3日に89歳で死去した巨人終身名誉監督の長嶋茂雄さんの自宅へ弔問に訪れた。早朝に米国から帰国したばかりだったが、2時間23分間滞在し、顔を合わせて感謝を伝えた。大谷翔平の二刀流の後押しを受けるなど、ミスターの言葉に心動かされ歩んできた指導者人生。23年のWBCで日本代表を世界一へ導いた名将は、長嶋イズムを継承して今後の野球界発展に尽力していく。

帰国後、迷いながらも長嶋さん宅へ向かった。「来ることが迷惑になるんじゃないかと思って。すごく考えたが、どうしてもお礼だけ一言言いたかった」。次女三奈さんに案内され、4日に弔問した松井秀喜氏の2時間15分を越える2時間23分、恩師に感謝の思いを伝えた。

球界のスターに導かれてきた。現役時代には「いい選手になれる素質があるから頑張りなさい」と、直接指導を受ける機会こそなかったが背中を押してもらった。引退後には「指導者としての勉強をしないか」と最初に声をかけられた。「真剣に指導者になるための勉強をしないといけない、と思えるきっかけをプレゼントしてもらった」。ミスターからの言葉が指導者・栗山英樹の原点となった。

長嶋さん宅には幾度となく訪れたことを明かした。「節目にはここに来させてもらって、いろいろ話を聞かせてもらった」。13年日本ハムの監督として大谷翔平投手(現ドジャース)について相談した際には、二刀流挑戦を後押ししてもらった。侍ジャパン監督就任時は、04年アテネ五輪予選で監督を務めた長嶋さんから日の丸を背負う覚悟を学んだ。「野球というスポーツがこれから先も長く続くように、一生懸命やってください」と託された思いに応え、23年WBCでは侍ジャパンを世界一へと導いた。

ことあるごとにアドバイスを受けた恩師へ最後の別れを告げた。うつむきながらも、遺志を引き継いだ覚悟をにじませながら「今のプロ野球があるのはミスターのおかげ。『ありがとう』と言わせてもらいました」。今後も野球界発展へ向け、長嶋イズムを継承していく。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 栗山英樹氏「お礼だけ一言言いたかった」大谷二刀流後押し長嶋茂雄さん2時間23分弔問