東洋大姫路先発の木下(撮影・林亮佑)

<高校野球春季近畿大会:東洋大姫路1-0智弁和歌山>◇1日◇決勝◇さとやくスタジアム

東洋大姫路が今春センバツ準優勝の智弁和歌山を1点差で下して、88年以来37年ぶり4度目となる春の近畿王者に立った。

昨秋近畿決勝と同カード。リベンジに燃える相手の前に背番号1の木下鷹大(ようた)投手(3年)が立ちはだかった。9回で9安打を許しながら無失点で公式戦初完封勝利。「ランナー出ても抑えられるという自信があった。そこが粘りにつながった」と充実感を漂わせた。

昨秋とは違った選手の奮起で秋春連覇を達成した。左右2枚看板だった阪下漣投手、末永晄大投手(ともに3年)を故障で欠く中、エースナンバーを背負った右腕が存在感を大きくした。初回1死満塁を併殺打で切り抜けると、その後のピンチも冷静に切り抜けて本塁を踏ませない。桑原大礼(おおら)捕手(3年)とも相手打線の狙いを感じ取って、バッテリーで話し合って試合中に修正。内角にも直球をズバッと投げこんだ。「この春を通してバッテリーで考える力はついたと思う」と胸を張った。

岡田龍生監督(64)も「バッテリーをほめてやりたい。阪下や末永と報道では出るけど、もう実質今のところは(木下は)エースですよね」と成長に目を細めた。阪下と末永についてはすでにキャッチボールを始めている段階。「夏の戦力としてリハビリを計画中ですけど。でもこれはわからへんからね」と見通せない状況だけに、木下の経験と成長は大きな春の財産となった。

秋春の近畿大会連覇は同校初で、17年秋、18年春に根尾昂(現中日)や藤原恭大(現ロッテ)を擁した大阪桐蔭以来。岡田監督も履正社(大阪)時代には達成できなかったが、母校を率いて新たな歴史を刻んだ。

夏はより一層、他校の警戒が強まる。木下は「夏の大会につながって勢いがつくので良かったと思うが、優勝することで打倒東洋大姫路でくる。難しい試合になるけど、投手中心に粘っていけたら」と見据えた。今春はセンバツを経験し、U18代表候補合宿にも参加。大舞台での経験も積んだ収穫たっぷりの春を夏につなげる。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【近畿大会】東洋大姫路、秋春連覇で37年ぶり春V「夏に勢いつく」背番1木下鷹大が公式戦初完封