優勝を飾り笑顔で集合写真に納まる東日本国際大ナイン(撮影・高橋香奈)

<南東北大学野球:東日本国際大4-3東北公益文科大>◇18日◇第6週第1日◇南部スタジアム

東日本国際大が東北公益文科大に逆転サヨナラ勝ちし、開幕から9連勝で8季連続40度目の優勝を飾った。1点ビハインドで迎えた9回、佐藤紅琉主将(4年=明秀学園日立)がナインを奮い立たせた。2死一、二塁をつくり、最後は三井颯大捕手(3年=聖望学園)がサヨナラの2点適時三塁打を決めた。6月9日に開幕する全日本大学野球選手権(神宮ほか)の出場権をつかんだ。

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9回表に勝ち越されても、東日本国際大ナインは諦めていなかった。9回裏、2死一、二塁で三井が打席に立った。「ただ、つなごうという一心だった」。狙い通りスライダーを振り切り、右翼手の頭上を越えた。二塁走者に続き、サヨナラの走者の生還を待ちきれず、ベンチから飛び出す仲間の姿に「正直、逆転までいくと思わなくて、みんなが喜んでいるので確信して…うれしかったです」。自身初のサヨナラ打と優勝の喜びをかみしめ、仲間とともに人さし指を空にかざした。

一プレーの重みを知り、強くなった。昨年6月の選手権大会、準々決勝の上武大戦は、自らの後逸で0-2から0-3へ差が広がった。その後、逆転するも「ずっと野球をやってきて感じますけど、その1点の差ってすごく大きかった。監督にもいっぱい怒られました」。全国の舞台での失敗が糧になった。さらに、同学年の青山学院大・渡部海捕手のプレーを見て「キャッチャーとして全ての能力が素晴らしい。配球、間、バッティング、長打力、全てが自分よりも上だった」と刺激を受け、技術向上に励んできた。

主将の鼓舞も、ナインの背中を押した。エース阿字が先制を許し想定外の2回途中降板、相手に流れを与える場面もあった。だが、誰も気持ちを切らさなかった。佐藤紅が「阿字のためにみんなで戦おう。今までやってきた自分たちを信じて、できることをやろう」と語りかけていた。1点を追う9回の攻撃の前には「焦らず、落ち着いていこう」と呼びかけた。

8季連続で南東北の代表となった。「ひとつの隙、ひとつのミスが許されない舞台。打ち勝つ、守りから攻めていく、東日本国際大の野球で挑んでいきたい」と佐藤紅。全国でも、全員で渾身(こんしん)の一プレーを積み重ねていく。【高橋香奈】

○…東北公益文科大は春の初優勝は逃したが、最後まで粘りをみせた。1-2の8回1死走者なし、佐々木徳志外野手(4年=山形中央)が自身公式戦初の本塁打で同点に追いついた。「つなぐつもりで打ったらまさか。頭が真っ白になりました」とダイヤモンドを回り仲間からの祝福を受けた。「試合は悔しかったですけど、みんながベンチで喜ぶ光景はずっと見ていたかった」とほほえんだ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 東日本国際大が逆転サヨナラで8季連続V「阿字のために」佐藤紅琉主将の鼓舞にナイン奮起