青森大5季ぶりリーグ制覇、川満真が母の前で17年ぶり全国導くV弾 北東北大学野球
<北東北大学野球:青森大8-1ノースアジア大>◇11日◇最終節第2日◇青森県営
38度目の栄冠を手にした。青森大がノースアジア大に8-1で8回コールド勝ち。9連勝締めで、5季ぶりのリーグ制覇を果たした。1-1の3回2死走者なしから、川満真外野手(3年=糸満)の左越え本塁打で勝ち越しに成功。この1本が打線に火をつけ、2、6回以外は毎回得点を重ねた。プロを目指し、沖縄から青森へやってきた背番号9が、観戦した母の前でチームを17年ぶりの全国へと導いた。
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家族が見守る中で左翼スタンドにたたき込んだ。優勝を懸けた最終戦。1-1で3番川満に打席が回った。「とにかく自分が後続につなげようという気持ちが、一番良い結果になりました」と笑顔。10日の1戦目から、沖縄に住む両親と姉が応援に駆けつけていた。この日は「母の日」。スタンドで見守る母真理子さんに感謝の1発を贈った。真理子さんは「なかなか目の前で試合を見ることができないので、本当にうれしかったです」と目を細めた。
冬から始めた野球ノートが実を結んだ。昨秋は9試合に出場し、打率は1割にも満たなかった。チームも開幕6連敗で最下位争いを繰り広げた。まさに、どん底状態。「このままではダメだ」と、毎打席ごとに反省点をノートに書き込み、次打席以降につなげた。これが、決勝弾にもつながった。「1打席目では曲がり球に反応できなかった」と内野フライに倒れたが「2打席目では多少ボール気味でも打つことを意識しました」と高めの変化球を捉えて本塁打に。その後の打席も四球と2安打で全て出塁し、結果で示した。
幼少期から負けず嫌い。プロ入りの夢をかなえるため、進学先に選んだのは、地元の沖縄・糸満市から2600キロ以上も離れた青森大だった。「野球に専念するなら、あえて厳しい環境に身を置きたかった」と、生まれ育った地とは正反対の雪国を選んだ。キャンプ費用などを工面するために行っていたアルバイトを辞め、今年は野球に打ち込むことを決めた。「『野球を頑張るのでお願いします』と、両親に頭を下げました」と家族に支えられた。
チームは5季ぶりのVで、6月9日に開幕する全日本大学選手権(神宮ほか)の出場権を得た。人生初の全国舞台に、ヒーローは「全国でも勝つために準備をしていきたいです」。結果で家族に恩返しするつもりだ。【木村有優】
○…17年ぶりの全国切符に涙があふれた。就任9年目の三浦忠吉監督(43)は「長かったです…」と言葉をつまらせた。23年は3位、昨春は4位と、春のリーグ戦はなかなか勝てなかった。「毎年、悔しい思いをしてきて、『どこかで止めなきゃ』とは思っていたんですけど、なかなか苦しくて。すごく責任も感じていました」と口にした。
昨季終了後「勝てなかった以上は正解ではない」と指導者のあるべき姿や、考え方、選手へのアプローチ方法まで全てを見直した。「こういう結果になって、選手たちもよく頑張ってくれました」と話した。
全日本大学選手権の出場が決まり「正直、まだ全く何も見えていないです。まずはこの17年間をどう埋めよう、というところしか見てなかったので。1つ1つ、見つめなおして準備したいです」と意気込んだ。久々に全国の舞台に戻る青森大が、快進撃を狙う。