日本ハム対オリックス 試合前、スタンドに向かって手を挙げる新庄監督(撮影・黒川智章)

<日本ハム7-0オリックス>◇13日◇エスコンフィールド

日本ハムが首位独走へ向けて難攻不落の右腕を攻略した。新庄剛志監督(53)が7回1死満塁で打者・五十幡亮汰外野手(26)に出したサインは2ランスクイズ。これが見事に決まり、今季3戦3敗だったオリックス九里をKOした。会心の「新庄マジック」をさく裂させて首位攻防戦を制し、今季初の5連勝(1分け挟む)で、貯金も今季最多の7。14日も難敵の宮城を攻略して独走態勢に入る。

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会心の勝利に、新庄監督は歓喜の“取材拒否”だった。球団を通じて発信したコメントは「50分、五十幡くんに聞いてあげて。しかし、みんなすごいわ」。さすがに50分も聞けなかったが、勝利のヒーローのひとりとなった五十幡は約9分半、試合を決めた瞬間などについて語った。

7回1死満塁。初球を空振りした五十幡に出たサインは2ランスクイズだった。3回に先制打を放っていた背番号50は「ネクスト(バッターズ・サークル)の時から出るんじゃないかなって準備していた」と驚くことはなかった。九里が投げ出す瞬間にバットを横に寝かせ、冷静に沈んでいくシンカーに対応。投前に打球を転がした。

フォースプレーとなる局面での難易度の高い戦術に、慌てたのは九里だった。打球が手に付かず、本塁へトスできずに三塁走者の万波が生還。さらに無理な体勢から一塁へ送球した瞬間に、三塁ベースを回って様子を見ていた二塁走者の代走水野も本塁へスタートを切って2ランスクイズが成功。難攻不落の右腕をKOし、新庄監督も大きく手をたたいて喜んだ。

チームスローガン「大航海は続く」にちなみ、今季は長打力を前面に出した「海賊打線」が売りだが、過去3年間は型破りな小技や足を絡めた作戦も多く実行してきた。2者連続初球スクイズや満塁でエンドランなど奇策とも呼ばれた“新庄マジック”を経験してきたひとりの五十幡も「いろんな頭を使うことが増えた」。だから誰ひとり、どんなサインが出ても驚かない。頭も心も準備ができているから、勝負手がハマる。

単独首位に浮上した11日楽天戦後に、新庄監督が「独走したいね」と話した意味も、選手たちは理解している。「(今カードは)九里さん、宮城といい投手が続く中で、この3連戦はすごく大事。この勝ちはすごくでかい。今の勢いを続けられるようにチームで戦っていきたい」と五十幡。日本一へ向かう大航海は波に乗ってきた。【木下大輔】

▽日本ハム水野(7回1死満塁での2ランスクイズで二塁から生還)「九里さんも結構イレギュラーな動きだった中で一番いい判断、走塁ができた」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本ハム】新庄監督が“取材拒否”「五十幡くんに聞いてあげて」2点スクイズのヒーローに歓喜