鈴木誠也「適当に振ったら当たった」日本人通算900号も自虐 快音途絶え過去9試合打率1割
<カブス5-2マーリンズ>◇12日(日本時間13日)◇リグリーフィールド
カブス鈴木誠也外野手(30)が12日(日本時間13日)、本拠地でのマーリンズ戦に「3番左翼」でフル出場。5月1日以来、10試合ぶりとなる10号2ランを放ち、日本人メジャーの通算900号を記録した。この1発で、松井秀喜(ヤンキース)、大谷翔平(ドジャース)に次ぐ4年連続2桁本塁打に到達。苦しみながらも42試合目での2桁到達は年間38発ペースで、自己ベスト更新への期待も高まってきた。
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打った瞬間に分かる会心の一撃をよそに、試合後の自虐的な言葉は、鈴木の本心だった。「適当に振ったら当たった。奇跡じゃないですか。球もたいして見えてないので」。7番スワンソンの2ランなどで3点を先制し、なお2死三塁の好機で迎えた5回。救援左腕ベネジアーノに対し、フルカウントから甘く入った速球をジャストミート。飛距離126メートルの弾丸ライナーで、左翼席中段へ貴重な追加点となる2ラン本塁打をたたき込んだ。
日本人メジャー通算900号となる記念弾を放ち、自軍が快勝しても、素直に喜べる状態ではなかった。1日に2本塁打を放ち、打率3割目前まで上昇しながら、その後は急転直下。過去9試合で40打数4安打で打率1割、14三振と快音が途絶えた。本来、じっくりと「待つ」タイプだが、積極打法がプラスに働くこともある。その一方で、狙い球を絞りきれず、早いカウントで凡打すれば、淡泊な印象だけが残り、より深みにはまる。過去数試合は、その悪循環だった。
完璧な一打にしても、すべてに納得できたわけではなかった。「フルカウントになる前に打ちたかった。(甘い球に)手が出ませんでしたけれど」。もっとも、第1打席は8球、第2打席は6球、第3打席は6球、第4打席は5球と、全4打席で計25球を投げさせた。強引に打ち急ぐのではなく、どっしりと構えて甘い球を振り抜く本来の粘り強いスタイルを、徐々に取り戻してきた。
左翼ハップの故障で過去3試合は守備に就いたものの、今季は主に「DH」で出場。「(試合終了時に)外野にいようがベンチにいようが、それはどっちでもいい」と言いつつも、まだ本来のリズムはつかめていない。それでも、年間38発、131打点の自己新ペース。鈴木の破壊力に安定感が加われば、地区首位を走るカ軍にとって、これ以上、頼もしいことはない。
▼鈴木が今季10号を放ち、日本人大リーガーの通算本塁打が900本に到達した。1号は投手の野茂(ドジャース)が98年4月28日ブルワーズ戦で記録。
▼鈴木のシーズン2桁本塁打は1年目の22年から4年連続4度目。デビュー年から4年続けたのは、03~05年松井秀、08~10年福留の各3年を上回って日本人選手では初めて。なお、1年目からの条件を除いても、4年続けたのは21~25年まで5年の大谷だけ。