日本ハム対楽天 試合後、古林睿煬を出迎える新庄監督(撮影・黒川智章)

<日本ハム4-0楽天>◇11日◇エスコンフィールド

最高のリベンジを果たした。日本ハム古林睿煬(グーリン・ルェヤン)投手(24)が9回2安打で台湾時代になかったプロ初完封勝利を挙げた。98球と、100球未満で完封する「マダックス」も達成し、2勝目。4月23日の前回対戦で6回途中7失点と打ち込まれた楽天打線を徹底研究し、本拠地エスコンフィールド初勝利につなげた。チームは同一カード3連勝で貯金を今季最多6に増やし、4月2日以来39日ぶりに単独首位に浮上した。

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台湾からやってきた「火球男」古林睿煬が、異国で初めての完封勝利、マダックスを達成した。初回はわずか8球で3者凡退。3回には浅村、堀内を連続空振り三振に斬り、6回2死まで完全投球。「球数のことは考えてはなかった。試合を終わらせる、相手を抑えるという気持ちだった」と淡々と腕を振り、わずか2時間24分で試合を締めた。

失敗から学び、変われる柔軟性が快投を生んだ。「初対戦時は、選手や傾向があまり分からない状態だった。今回は予習もできた」。初回に3失点した4月23日の対戦は直球を多投して打ち込まれた。加藤投手コーチは「球が速いイメージが(相手に)あって、タイミングが合ったのも原因の1つなんじゃないかという話はした」。コーチのヒントを切り口にスコアラーとも相談。伊藤から学んだスライダーを用いてカウントを取るスタイルで、立ち上がりを克服した。新庄監督も「素晴らしかった。スライダーのコントロール、めちゃくちゃよかったね」とたたえた。

来日初勝利を挙げた5月1日ソフトバンク戦でコンビを組んだ同学年田宮も、クレバーな配球で助けた。今カード初戦で1失点完投した金村の攻めを踏襲しつつ「相手が来るのかなとか思わせたところでいかなかったり」と裏もかいた。古林の勉強熱心さと、田宮のリードが、絶妙な投球を引き出した。

台湾では育ててくれた祖母と仲が良く「金孫」と呼ばれ親しまれている。母の日に快投し「おばあちゃんからは『どこにいても、どんなピッチングをしてもずっと応援してあげるよ』と言われています」。まじめで優しい剛腕は、まだ24歳。さらにバージョンアップし、海の向こうの祖母に、恩返しを続けていく。【永野高輔】

▼日本ハム古林睿煬が来日初完投、初完封を98球でマークした。日本ハムの外国人投手が100球未満で完封勝ちしたのは、95年7月4日西武戦のグロス(81球)、02年4月10日ロッテ戦のミラバル(80球)に次いで23年ぶり3人目。台湾出身投手では88年4月23日近鉄戦の郭泰源(西武=86球)、11年8月17日巨人戦のチェン(中日=96球)に次いで3人目となった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本ハム】古林睿煬「今回は予習できた」伊藤大海に学んだスライダーで立ち上がり克服しプロ初完封