日本ハム対楽天 試合後、笑顔でガッツポーズの宮西(左)と万波(撮影・黒川智章)

<日本ハム8-7楽天>◇10日◇エスコンフィールド

日本ハムがNPB史上初となる「逆転満塁弾」の応酬を制した。

先発の加藤貴が、4回に楽天村林に満塁本塁打を浴びたが、2点を追う5回無死満塁で、万波中正外野手(25)が左翼へ自身2本目のグランドスラム。2回にも2ランを放っており、1試合6打点は自己最多。本塁打数はリーグ単独トップの9発とし、4年連続2桁本塁打に王手をかけた。チームは引き分けを挟んだ連勝を3に伸ばし、貯金は今季最多の5となった。

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空中戦なら負けない。4回に満塁弾を浴びて逆転された一戦は、万波の“倍返し”で決した。2点を追う5回無死満塁。「ちょっとこすった」という左翼への打球は、それでも悠々オーバーフェンス。お立ち台では「ホームランいったかなと思ってちんたら走ってました」とスタンドを笑わせた。長いプロ野球史の中でも、逆転満塁弾の応酬は初めてのことだった。

ヒーローインタビューとは違い、試合中の万波の表情は固かった。2回にも2ランを放ったが、どちらもニコリともせずダイヤモンドをまわった。9日の楽天戦は5回の打席で代打を送られた。この日の試合後、「ちょっとサインミスしちゃって」と明かし、「今日は試合が終わるまで、気を抜かずにいきたいなと思ってました」と言葉をつないだ。

悔しさを抱えたとき、意識するのは切り替えだという。もともと「(気持ちの)波はあるほう」で、以前は落ち込むことも多かった。だがチームメートがミスしても「そんなに落ち込むなよ」と思うのに、「なんで自分の時はそんな気持ちになっちゃってんのかな」と思い至った。たどり着いたのは「過ぎたことは諦める」の思考。そして強く思う。「今日は絶対に打つ」。挽回の一戦で自己最多の1試合6打点。歴史的な“満塁弾返し”のヒーローは、心も強い。

本塁打数はリーグトップの9本塁打と、4年連続の2桁に王手をかけた。「打球速度も角度も、ここ2、3年ですごく向上してるので、時間の問題でもっと出るかなとは思ってた。ここからもっとペースを上げていきたいです」。本塁打数12球団トップの強力打線。その中心に、万波がいる。【本間翼】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本ハム】万波中正“満塁弾返し”で4年連続2ケタ王手「もっとペースを上げていきたい」