大谷翔平、豪快バット投げ「確信持って」珍し自画自賛1発で決着 直近7戦5発、打率も3割突破
<ダイヤモンドバックス11-14ドジャース>◇9日(日本時間10日)◇チェースフィールド
【フェニックス(米アリゾナ州)9日(日本時間10日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、ダイヤモンドバックス戦で劇的な1発を放った。3点差を追い付いた9回、2試合連発となる勝ち越しの12号3ランをたたき込み、乱打戦にけりをつけた。4回0/3を5失点で降板した先発佐々木朗希投手(23)を援護する適時二塁打を含む3安打4打点。直近7戦で5発と5月にペースを上げ、本塁打数はアーロン・ジャッジ外野手(33=ヤンキース)らと並びメジャートップに浮上した。
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両手に残る余韻に浸る間もなく、相棒の黒バットを豪快に放り投げた大谷は、両手を大きく広げ、ゆっくりと走り始めた。3点ビハインドの9回。4番フリーマンから始まった味方打線が試合を振り出しに戻し、なお1死一、二塁で大谷に打席がまわった。変則右腕トンプソンの甘く入ったスプリットを捉えた放物線は、右中間への勝ち越し3ラン。二転三転の乱打戦に、最後は千両役者が完璧なスイングで決着をつけた。
群を抜くパワーだけでなく、磨き続けてきた感性が光る一打だった。「特別なことはしていないです。コンタクトすることだけ、最後は考えていきました」。相手は遅めの変化球の出し入れでタイミングを外す技巧派。カウント1-2と追い込まれた後のスイングは、フルスイングではなく、球を体の近くまで呼び込む滑らかで理想的なバット軌道だった。「素直にうれしかったですし、本塁打になるだろうという当たりだったので、確信を持ってそう言える打球だったと思います」。珍しく自画自賛するほど、試合状況、スイング、結果とも、文句のつけようがなかった。
2日間の「父親リスト」から復帰した4月20日以降、結果が伴わない時期が続いた。ボール気味のコースを強引に大振りするケースが増えるなど、本調子の姿ではなかった。それでも、5月に入って直近7戦で5発とペースを上げ、打率も3割4厘と大台を突破。全米各地が初夏へ向かう中、大排気量のエンジンも着々と暖まってきた。
この日は序盤の逆転、そして最終回の逆転劇。「なかなかあるような展開ではなかった。最後は勝ち越して、逆転して、抑える展開も熱かったので、本当に素晴らしい試合だったと思います」。試合後、ユニホーム姿のまま、取材に応じた大谷は、噴き出す汗を気持ち良さそうに拭った。