【DeNA】女の子の命がリーグVに懸かってる?勝敗に連動した連続ドラマ「神様、おねがい」
優勝すれば魂は抜かれない!? DeNAが、死神と前代未聞の契約を交わしたボールパーソンを主人公にしたドラマをスタートさせた。「プロ野球」とSNS上で人気を集める「縦型連続ショートドラマ」をかけ合わせた「神様、おねがい」。物語はチームの勝敗に連動して展開し、ここまでTikTokなど球団公式SNSで第3話まで公開中。
三浦大輔監督(51)も「しっかりみてますよ。もちろん優勝目指して頑張ります」と主人公の魂の行方? も気にかける。球団史上初の斬新な企画の裏側とは-。【取材・構成=小早川宗一郎】
死神に追われる主人公
4月25日。ナイター広島戦前の静かな球場に、早朝からカメラ5台、クルー総勢約20人が集結し、「神様、おねがい」の撮影が進んでいた。
第1話でDeNAを愛するヒロインの浜辺きららが死神と「優勝しなかったら魂を渡す」と取引して始まったこのドラマ。主人公は自分なりの優勝への道を考えながらチームを応援していく。優勝すれば死なない。逆に優勝しなければ…。ストーリーは毎話、勝敗だけでなく、選手の状態などに応じて組み立てられる。ファンにとって、日々の試合応援は魂を削るようなもの。そんな感情がリンクしている。
この日撮影された第3話では、球団OBの高木豊氏がゲスト出演。主人公の「優勝はあり得ますか?」という問いに対し、「バウアーが勝てるピッチングをすること」が鍵になると予言した。するとそれまで3戦3敗と苦しんでいた助っ人右腕は、その日以降の2試合でNPB初完封含む2勝をマーク。高木氏の“死神対策”が見事に的中した。さらに、この撮影後に行われたナイターで広島を下して連敗は5でストップ。一転4連勝を決めてみせた。
第3話「スーパーカー」
台本がキャストに届けられるのは、撮影日のおよそ3日前。その上でギリギリまで修正が加えられる。前例のないドラマの企画・脚本を手がけるのは、23年のカンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞した「PERFECT DAYS」の共同脚本を務めた高崎卓馬氏。シーズン連動型に「ファンの期待する気持ちだったり、もっと! という気持ちなど、チームを真剣に応援する気持ちとリンクさせることを意識しています」と明かす。
球団の狙いはファン層の拡充。同ドラマは球団公式SNS(TikTok、YouTubeほか)で配信中で、これまで野球に興味がなかった、関わりのなかったような若い層にもアプローチを図る。もちろん往年のファンの心をくすぐるような仕掛けも用意する。
第3話では高木氏の登場になぞらえ、ベンチのメンバーボードに小ネタが…。俊足トリオとして愛された高木豊、加藤博一、屋鋪要の「スーパーカートリオ」の名前が、こっそり記入されていた。「まさかあの人が! という方々の登場を考えています。毎回どこかに超細かい仕掛けもあります。そういう物を探しながら見てもらえたらうれしいです」(高崎氏)と今後のゲストや仕掛けにも注目だ。
高崎氏は自ら紡いだ脚本が歓喜の瞬間で終われるように、DeNAの優勝を心から願う。「優勝してほしいです。それも劇的な、歴史に残るようなドラマチックな展開を期待してます」。27年ぶりのリーグ優勝は、ファンの気持ちが1つになること間違いなし。ヒロインの魂も守られる、そんな“ハッピーエンド”を果たして迎えることができるのか-。Vの行方とともに、魂の行方も見逃せない。
◆主人公・浜辺きらら役の栗林藍希(あいの)(24)「ベイスターズの結果が個人的に楽しみになりました。高木豊さんもそうでしたけど、ゲストの方々がすごく覚えるのが早いですし、ドラマが面白くなる鍵になってくると思うので、これからもいろいろな方とお会いできるのが楽しみです」
◆高木豊氏(3話にゲスト出演)「役者やれなんてなかなか言われることないですし、こんなセリフあるなんて知らなかったから。でも楽しく出来ました。ベイスターズ関連の仕事なので断るわけにもいかない(笑い)」
◆制作を務める株式会社AOI Pro.の室田晋監督「先が見えないのでドキドキしながらみんなでどうなるんだろうと思いながら作ってるのは新鮮です。試合も毎回チェックするようにはなりましたし、誰が活躍したとか細かいところまでファンになってよりその先の展開やどんな方に出ていただこうかとか、考えるのも楽しいです。DeNAに勝ってほしいと強く思ってますし、応援することの楽しさを学びました」
◆ストーリー DeNAを愛するボールパーソンがヒロイン。ある夜、死神から「魂を抜く」と宣告されるが「ベイスターズが優勝したら魂を抜くのはやめて、生き延びる」と取引を持ちかける。物語は、そんな主人公がどうすれば優勝できるのかを模索しながら進む。
<DeNA異色企画>
◆牧、集合!? 23年の交流戦、「牧秀悟の影武者」を募集。17人の「牧(そっくりさん)軍団」がスタンドから観戦し、ロッテ佐々木朗希を惑わせ(?)牧が4安打2打点で攻略した。
◆空飛ぶキャプテン 23年の開幕戦、当時主将の佐野がグラウンド上空のロープにワイヤをつけて空中から登場した。
◆裏ベイチケ 今季スタートした公式チケットサイト「ベイチケ」とは別にファンに特別な体験を提供するもの。球団編成部に直接、プロ入り前の選手を推薦する権利がついた「とっておきの選手をスカウトに推薦する権利付チケット」やスマホをあえて見られない状態にする「観戦全力集中チケット」や球団SNSなどで使うための「フリー素材になれるチケット」などさまざまな試みがある。